
これまで1000人超の著名人を取材してきた元雑誌記者で公認心理師の船見敏子氏は、あえて全力投球を避けてうまくいった成功者を多く見てきたという。自分の心を守りながら活躍する秘訣とは?※本稿は、船見敏子『結局、いいかげんな人ほどうまくいく 先入観を捨ててより良く生きるための60の習慣』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
苦労は買ってでもするべき?
ある成功者の意外な見解とは
私が取材をした著名人たちの苦労話は、その功績に比例するように壮大でした。そんな話を耳にするたびに、「成功するためには苦労が必要なのだ」と思ってきました。
ところが、知人のAさんは違いました。雑誌を1から立ち上げ、テレビにも取り上げられたAさん。口ぐせは、「苦労なんて買うもんじゃない」でした。
Aさんは、口ぐせ通り、自ら苦労するのではなく他者の力を借りることにしました。立ち上げた雑誌で読者を使うことにしたのです。
なにせ予算がありません。プロの編集者やカメラマンに頼めばお金がかかる。そこで、「雑誌作り体験」企画を作って読者に編集や撮影をやってもらうことにしたのです。
集まった読者たちは、まったくの素人。そんな彼らに、企画を出し、取材をして記事を書いてもらう作業を好きなようにやってもらうというではないですか。
えっ、メチャクチャな雑誌になっちゃう…。私はやきもきしました。
ところが、結果的に素人ならではの素朴さがにじみ出た、素敵なページが出来上がりました。
予算がない中でも協力してくれるプロを探す方法もあったでしょう。自らが走り回ってページを作ることもできたはず。でも、そんな苦労は選ばなかったのです。