その後、店舗に商品が届くのが早くなり、売り上げも伸びたそうです。思い切った大改革は、大成功につながったのです。

いいかげんのすすめ
面倒くさがりほど発想が柔軟

部下をサポートする管理職ほど
自分自身を大切にすべき理由

 管理職の最大の仕事は部下育成だからと、自分よりも部下を優先する人をたくさん見てきました。2時間かけて面談する人もいれば、いつでも相談ウェルカムにしている人もいます。中には、部下の恋人の名前まで知っている人も。とても立派ですが、日中は部下のために時間を費やすので、早くは帰れません。

 一方、正反対の考え方の人がいます。自分ファーストの管理職です。

 相談を受け付ける時間を限る。面談は30分まで。プライベートには必要最小限しか踏み込まない。部下が仕事していても自分の仕事が終わったら帰る。

 ある製造業の会社のカウンセリングで、そんなマネジメントスタイルを貫いている課長に会いました。

 クール、いや、むしろ自分勝手。部下に信頼されていないのでは?

 そう思いながら話を聴き続けると、意外な言葉が飛び出しました。

 部下を最優先している上司は一見、理想的。でも、自分をあとまわしにしている時点で、自分を大事にしていない。自分を大事にできない人間に他人を大事にすることはできないというのが、課長の持論でした。

 あるがままの自分を慈しむ、大事にすることを「セルフ・コンパッション」と言います。他人にするように、自分にも優しく声をかけたり励ますのが、セルフ・コンパッション。そうすることで、幸福度が高まり、前向きに生きる力が生まれ、結果的に他人を大事にできるのです。

 人を優先するあまり自分を抑え込んだり、弱みを見せないよう踏ん張っていると、感情まで抑圧し、抑うつ状態に陥ることも。

 後輩のため、子どものためと、誰かのために頑張っていると気づいたら、自分に優しい声をかけてあげましょう。自分最優先は、決してわがままではありません。

いいかげんのすすめ
管理職こそ「自分大好き」のほうがいい

「放任主義」の上司が
部下に与える影響とは

 上司に放ったらかしにされると、不安になりますよね。

 相談してものらりくらり。はっきり指示してくれない。そんな対応をされると、自分のやり方が正しいのか、このまま進めていいのか迷うものです。

 ある企業のカウンセリングで、そんな上司に会いました。「放任型」の課長です。