
「嵩が下を向いたときには、上を向けるように
あごをクイッとあげるのが健太郎なのかな」
――第10週で健太郎に赤紙が届き、第11週と第12週では戦争シーンが描かれました。
「嵩と二人でカレーを食べながら、赤紙が来たことを報告するシーンは、僕としても初めて見る健太郎だなと思いました。嵩と積み重ねてきた思い出があるからこそ、彼にむかって赤紙という言葉を口にするのがすごく苦しかったですし、カレーの味がしなかったことを今でも覚えています。今後の健太郎の人生においても、すごく記憶に残る日になるんだろうなと思いました。
戦争のシーンは、撮影しながらも、これが実際に起きていたのだということに、どうしても現実味が感じられませんでした。しかし、それでも自分がお芝居で体感して演じなくてはいけないので、大きな責任があるなと思っています。
事前に、当時の戦争について記されている本を監修の方からいただいて。文面だけでは理解できないことは、聞いたり、自分で調べたりして臨みました。上の立場の人から手をあげられることがたくさんあったそうで、お芝居の中でも目上の人と接するときには、緊張感を持って身構えていました。
戦争のシーンでは、常に背筋が伸びていた感覚があります。元々、健太郎を演じる上で、福岡から東京に出て来た子の雰囲気が出せればいいなと思い、5キロくらい増やしていたのですが、戦争のシーンに向けて1週間で5キロ落としました。
戦争中は芋を1日に1本しか食べられなかったとお聞きして、そこから自分も、干し芋を1日1枚食べるという生活を3日くらいやっていました。あとは乾パンを食べてみるなど、なるべくできるところはやろうといった気持ちでしたね」
――高橋さんは、健太郎と嵩の関係をどのように見ていますか? 嵩を演じる北村さんの印象も教えてください。
「嵩は、健太郎にないものを持っていて。全然似ていないのに、ずっと一緒にいられる、落ち着ける人です。嵩に対する健太郎の言動は、全部にちゃんと愛があると思っていて。嵩が下を向いたときには、上を向けるように、あごをクイッとあげるのが健太郎なのかなと。お互いに高め合える二人だと思いますし、成長して変化もあるかもしれませんが、それでも変わらない二人でありたいなと思っています。
北村さんは、本当にやさしくて包容力のある方です。最初に人見知りしていた僕に、ふと『文哉はさぁ』と名前で呼んでくださって、キュンとしました(笑)。
お互いに料理をするので、料理の話題で盛り上がったり、すごく仲良くしていただいて。『あんぱん』からたくさんの影響をもらっていますが、なかでも北村さんとの出会いはすごく大きいです。お芝居への意識や現場でのたたずまいなど、いろいろなことを学ばせていただいているので、本当に出会えてよかったなと思います」
健太郎とメイコのこれからが楽しみだ。