「君なら受かる!」→まさかの地雷質問!朝ドラ面接回がこんなに重たいとは…【あんぱん第65回レビュー】『あんぱん』第65回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第65回(2025年6月27日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

のぶ(今田美桜)、
新聞記者になる

 急展開。速記に目覚めたのぶ(今田美桜)は新聞記者になる。

 戦時中、主人公が苦しむのも朝ドラらしさだが、こんなふうに主人公があっけらかんと、トントン拍子に進路変更していくのも朝ドラらしさ。まわりを取り巻く人々の記号化した感じといい、いい意味でも悪い意味でも朝ドラの本領が発揮され、高知新報編は期待できそうだ。

 順を追って第65回を振り返ろう。

 速記の実践のために闇市で人々の会話を記録していたのぶは、高知新報の主任・東海林(津田健次郎)と出会った。

「好奇心 探究心 しぶとさ ずうずうしさ 新聞記者に必要なものをすべて持ち合わせちゅうき」

 東海林はのぶを見込んで、高知新報で採用すると言う。

 翌日、のぶはさっそく新聞社を訪ねた。編集部のなかはブルーのフィルターがかかったような色味。喫煙描写ができない昨今、雰囲気だけ出してみているのかもしれない。

 視聴者の大方の予想どおり、したたか酔っ払っていた東海林は自分の発言を覚えていなかった。だが、東海林は忘れたで突っぱねるような冷たい人ではなく、人情のある人らしい。必死で頭を働かせ、近いうちに入社試験があるのでそれを受けてみないかと言う。ちょうど、進駐軍のお達しで女性を積極的に採用する気運があるそうなのだ。

「君なら受かる! ような気がする〜」と東海林は断言しないが応援。