熱海は観光地でありながら、ゆったりとした時間の流れがあり、忙しい毎日を過ごすビジネスパーソンの疲弊した心に余白と癒やしを与えてくれる場所です。

 前述の通り、熱海に住んでいる人や、二拠点生活をしている人と旅行者が交流できるお店もあるため、東京ではきっと出会えない人同士の新しい接点が生まれるユニークな街です。

“別荘文化”がある軽井沢
文化的刺激も自然も味わえる

 一方、東京から新幹線で70分という軽井沢も、森林と高原による自然の静寂と洗練された文化環境が共存する、リトリートに非常に適した場所です。

 標高約1000mの高原地帯に位置し、白糸の滝、雲場池、浅間山麓の森、野鳥の森など、静寂で瞑想的な自然スポットが豊富で、鳥のさえずり、木のざわめき、風などの「自然の声」に身をゆだねることで、日ごろの都会生活でフル回転している脳の高ぶりを鎮めるのにはうってつけの場所です。

 軽井沢には、音楽ホール、文学館、美術館、古書店、ギャラリーなどがあります。夏でも涼しいこの街は、芸術祭・音楽祭なども多く開催され、文化的刺激に事欠かない「文化的でインテリジェントな避暑地」として、明治以降多くの文人(有島武郎・堀辰雄など)や政財界人が別荘を構えた場所です。

 また「星のや軽井沢」から始まった星野リゾートのリトリート型施設も集まり、ヴィラスタイルや一棟貸しの施設が充実しています。さらに、 最近では外資系のラグジュアリホテルもオープンし、 人との接触を避けたプライベートな時間を持つにはうってつけです。

 軽井沢の空間は、「自然」「静けさ」「文化」の組み合わせが、情報過多な都会とは異なる環境で、クリエイティブな発想や浮かびやすく、自分の思考と静かに向き合うための場所として最適です。軽井沢は古くから「別荘文化」の土壌があり、特に長期滞在型リトリートに向いています。

 春は芽吹きの新緑、夏は涼しさと木々の緑、秋は紅葉、冬は雪景色と夜の静寂と季節によって変わる多様な顔を持っているのが軽井沢です。

 また、一流のシェフたちが短い夏の間、全国からリゾートを兼ねて軽井沢に集まり、フレンチ、イタリアン、マクロビ、ヴィーガンなど、広く地元野菜や信州の発酵食文化(味噌、漬物)を活用したレストランをオープンします。おしゃれなカフェ、クラフトショップも多く「森の中の都市性」がある街です。