親イスラエル系ハッカー、イラン金融システムを妨害Photo:PIXTA

 イスラエルと米国がイランの核施設を爆撃している間に、水面下でもう一つの戦場が生まれていた。イランと世界とのつながりを維持している金融インフラだ。

 イスラエル当局と親イスラエル系ハッカー集団「プレダトリー・スパロー(肉食スズメ)」は、イラン国民が資金移動や米国主導の経済制裁の回避を目的に使っている金融機関を標的にした。イスラエル当局者と、この取り組みに詳しい複数の関係者が明らかにした。米国は、イランによる核開発計画やイスラム主義組織への支援を理由に、過去数十年間にわたり断続的に制裁を科してきた。国際金融システムからイランを排除することが狙いだ。

 匿名で活動し、活動の最新情報をXに投稿しているプレダトリー・スパローは先週、イラン国営セパ銀行の業務をまひさせ、オンラインバンキングやATMを停止させたと述べた。国営メディアは被害があったことを認めた。セパ銀行はイランの軍隊にサービスを提供し、軍の国外サプライヤーへの支払いを支援している。

 プレダトリー・スパローは、イラン国民が国外送金に広く利用している同国最大の暗号資産(仮想通貨)交換業者ノビテックスも攻撃した。ノビテックスによると、約1億ドル相当(約145億円)を抜き取られ、サービス停止に追い込まれたという。

 イラン政府は、さらなる攻撃を防ぐとともに反政府活動を抑制するために、国内のオンライン活動の大半を停止させ、国外のウェブサイトをブロックした。国民に対しては、音声や位置情報をイスラエルのスパイに収集される可能性があるとして、外国製の携帯電話やメッセージ送受信プラットフォームを使用しないよう警告した。イラン政府職員はノートパソコンやスマートウオッチの使用を禁止された。 undefined undefined  プレダトリー・スパローは2社へのハッキングについて、イラン革命防衛隊(IRGC)の「金融ライフライン」を狙ったと述べた。IRGCはイラン最強の軍事組織で、国内経済の大部分も支配している。プレダトリー・スパローは「崇高なイランの人々よ! 手遅れにならないうちに資金を引き出せ」と投稿した。