「死んだはずの人」がATMで振り込み?高齢者を食い物にする「身元保証サービスの闇」写真はイメージです Photo:PIXTA

家族がいない、頼れる人がいない――そんな高齢者が最後に頼るのが身元保証サービス。しかしその実態は、預金の無断引き出しや、全財産を渡す遺言書の作成など、信じがたいトラブルの温床になっている。国の規制もなく野放しになっている、NPO法人の裏の顔とは?※本稿は、甚野博則『衝撃ルポ 介護大崩壊 お金があっても安心できない!』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。

死亡した後に預金が
本人名義で引き出される

 来院時心肺停止状態――。そう記された死亡診断者が私の手元にある。当時85歳の山根三郎さん(仮名)が亡くなったときのものだ。

 山根さんには妻や子どもがおらず、親しくしていた親族もいない。そのため、NPO法人が運営している身元保証サービスを契約していた。

 身元保証サービスとは一般的に、病院や介護施設に入る際に必要となる保証人の役割を担ったり、死後の事務手続きをサポートしたりするものだ。

 生前、介護が必要だった山根さんは、身元保証サービスを手掛けているNPO法人と契約をしてサポートを受けていた。そんな山根さんの死亡診断書の直接死因の欄には「肺炎」と記され、発病または受傷から死亡までの期間は「約2日」とされている。

 だが、この死亡診断書をよく見ると気になる点があった。死亡日時である。

 亡くなったのは某月29日の正午0時と記されていた。なぜそれが気になるのかといえば、山根さんが銀行で振り込みをしたことがわかる「ご利用明細」を関係者から入手したからだ。

 そのご利用明細には、山根さんが亡くなった翌月の18日に、どこかへ振り込みをした形跡が残っていたのだ。死後、約20日経った後、何者かが山根さんの銀行のキャッシュカードを使って、ATMから振り込みを行っていたことを意味する。