フランスのエマニュエル・マクロン大統領はネイサン・パールローゼンタール氏のような米国人学者にこう呼び掛けている。米国のことは忘れてフランスに来なさい!南カリフォルニア大学で歴史学の教授を務めるパールローゼンタール氏は、5月にパリで開かれた会議でマクロン大統領と出会った。その数週間前には、自身の海事史研究に対する米政府の助成金を打ち切られていた。同氏は批判精神と学問の自由を擁護するマクロン氏の姿勢に感銘を受けた。「私が大衆政治の台頭を研究していると話すと、彼は私にウインクした」とパールローゼンタール氏は語る。同氏はパリで常勤のポストに就くことを考えている。マクロン氏や他の欧州諸国首脳は、ドナルド・トランプ米大統領の米学界改革を自分たちの利益に変えようともくろんでいる。欧州連合(EU)欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は5月、「欧州を研究者が集まってくる場所にする」ため、約5億7500万ドル(約830億円)相当の基金を設立すると表明した。英国は6月、同国に移住する外国人科学者の転居費用や研究費を賄うために5年間で約7500万ドル相当を支出すると発表した。
米に幻滅した学者を歓迎する欧州
英仏などは移住支援の基金を設立
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