ハイレベルな大喜利を募った
日本初のラジオクイズ番組
今度は「似ている点を挙げてください」ということでリスナーにお題を募って出題しているのですが、「カンニングとランニング」、音は似ていますが意味はまったく違いますから、出演者たちは似ている点をパッとは答えられません。
バッテンさんという出演者は「ランニングはゴールに見物人がどんどん集まってくるから、覗きこむという点でカンニングと似ている」と言う。すると次の出演者が「カンニングもランニングも、後ろの人が気になる」と言って、アナウンサーの「ほうほうほう、これはいいですね」で、みんなが笑う。
「お題はこちら。ブラジルという汁はどんな汁?」
「南米(何杯)飲んでもうまい汁」
「うちのお父さんとかけて停電のときのロウソクと解く。その心は?」
「1本つけると明るくなる」
これは終戦から5年しか経っていない1950年の放送ですが、『とんち教室』と言うだけあって、けっこうレベルの高い大喜利が行われています。
リスナーに宿題を出したりして次の週まで盛り上がって、聴取率は58%でした。
あるいは、時代を感じる笑いもありました。たとえば、「馬を4頭並べて都々逸をつくってください」というお題の『競馬都々逸』。
都々逸というのは、江戸末期に流行した男女間の情などを七七七五調にまとめた唄です。
「埋まった宝を うまうませしめ うまくさばいて うまい汁」
このように句頭にウマという音を読みこんで、ウマ縛りで都々逸をつくるという、なかなか風情のあるお題です。「そしたらどうぞ」と言われて、みんな次々と発表していきます。
「うまく儲けて 馬を買って 馬が稼いだ うまい酒」
「生まれた赤ちゃん 馬をば眺め 生まれて初めて 馬を見た」
「馬を見ようと 馬屋へ行けば 馬の隣に 馬がいた」