
時代とともに笑いの質は変化していくもの。それゆえに、昭和・平成で通じた笑いのなかには令和にそぐわないものも多い。明治大学教授・齋藤孝氏が、笑いの変遷をたどりながら、現代のユーモアの最適解を提案する。※本稿は、齋藤 孝『ユーモア力 現代社会に絶対必要な能力の鍛え方・磨き方』(山と溪谷社)の一部を抜粋・編集したものです。
高学歴芸人が増加中
笑いに教養は必要?
最近はお笑い芸人の世界でも、大学のお笑いサークルで活躍した人がデビューすることが多く、笑いの質がちょっと変わってきている感じがします。
たとえば、ラランドは上智大学のお笑いサークル出身です。そういう高学歴芸人が増えてきました。
しかし勉強は勉強。勉強ができればユーモア力が育つとは限りません。
勉強の内容をもじって知性的なことを言える利点はありますが、笑いという点で特別に優れているわけでもないということです。
知性的であることは、他者よりも状況に対して余裕があるということです。
ビートたけしさんは「教養をベースにした笑いと、そうではない笑いがある」と言っていました。「さんまは教養など関係なくやってる。あれはお笑い怪獣だ」と。
明石家さんまさんは、『8時だョ!全員集合』(TBS系)の対抗番組として1981年に始まった『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)で大爆発しました。たけしさんは、さんまさんをそのまま活かしたほうがいいと思われたのだそうです。