つまり、言葉のセンスと教養を磨いていくと、人を傷つけない笑いができるということです。
ユーモア力を身につけるためには、笑わせる技術を磨く道とともに、ユーモア文化を育てる役割を担っている意識を持って上手に笑う道があります。
私は笑う技術を育てようと常に考え、行動しています。「コミュニケーション力を上げる」というテーマで講演に呼ばれることが多いのですが、「コミュニケーションの基本はリアクションである。リアクションの基本は、うなずくこと、軽く驚くこと、いちばん大事なのは上手に笑うことである」とお話ししています。
関係性によって大きく変化する
笑いが生まれるシチュエーション
じつは、笑いというのは関係性によるところがあります。

恋人同士はもちろん、相手が男性であれ女性であれ、自分が好感を持っている人が言ったことならば何でも面白い。あるいは、ミュージシャンがライブステージで言うジョークが大して面白くなくても、ファンは笑います。このように、関係性によって、状況によって、笑いは違うということです。
コミュニケーションのためには、相手のジョークが面白いか・面白くないかは二の次なのです。
自分が面白いと思ったことに対して笑う、面白く感じなかったら笑わない。これは、お笑い芸人を見ているときの悪いクセであり、客や子どものやることです。大人として積極的に人間関係をつくっていきたいと思うのであれば、相手が面白いと思って言ったことに対してしっかり笑うことが大事です。
笑いはマナーであり、笑うことは礼儀です。笑いが環境をよくするのです。
「相手がジョークを言いました→自分が笑います→面白いですね」となって、コミュニケーションが成立するわけです。
相手がジョークを言ったということは、握手に例えれば、右手を出したということです。それに対して笑うことが、自分も右手を出すというリアクションになります。これがコミュニケーションというものです。相手が言ったジョークに笑わないのは、握手の拒絶であり、相手との関係性を拒絶するということになります。