孫正義のTwitter投稿に「反省」「すみません」と謝罪する人が続出した深いワケPhoto:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

ソフトバンク創業者の孫正義氏は13年前に「平凡な人生に満足していないか?」という文章をSNSに投稿したことがある。すると自分の姿勢を反省し、「すいません」と謝る人が続出した。しかし、これは単なる自己啓発的なメッセージではない。時代や分野を超えて通用する、非凡な成果を生み出すための普遍的な思考の核心が存在している。(イトモス研究所所長 小倉健一)

孫氏の言葉にグサっときた人たちが多数

《目標が低すぎないか? 平凡な人生に満足していないか?》

 2012年10月10日、孫正義氏がX(当時はTwitter)に投じた問いは、大きな衝撃となって多くの人々の心に届いた。

 投稿に対して、まるで叱責されたかのように「反省」「すみませんでした」といった反響が巻き起こったのだ。

 人々は、自分自身の生き方や仕事への姿勢を、彼の短い言葉によって否応なく見つめ直させられたのである。一個人の発言が、いかに深く、広く、人々の内面に突き刺さるかを示す象徴的な事例となった。

 孫氏の印象的な投稿が行われたタイミングは、決して偶然ではない。

 わずか5日後の2012年10月15日、ソフトバンクは米国の通信大手スプリント・ネクステルを約201億ドル(当時のレート換算で約1兆5709億円)で買収すると発表した。日本企業による国際的なM&Aとしては、当時最大級の規模を誇る決断で、多くの人々を驚かせた。

 リーマンショック後の経済停滞が色濃く残り、企業が内向き志向を強めていた日本の空気の中にあって、孫氏の行動は異次元の挑戦に見えた。世界市場という未知の大海に、自ら大きな船をこぎ出すような、大胆な決断だった。