米下院は3日、ドナルド・トランプ大統領の減税法案を可決した。一方、市場は、米労働省発表の雇用統計で多くの人が懸念していたような雇用の急減が示されなかったことに、ほっと胸をなで下ろした。実際に雇用統計で明らかになったのはトランプ氏の政策に対する不透明感であり、だからこそ通商合意の早期実現と規制緩和の促進が一層必要だ。米オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が2日発表した全米雇用リポートで、6月の民間非農業部門雇用者数が3万3000人減少し、労働市場の状況が急激に悪化しているとの懸念がかき立てられた。実際にはそれほど悪化していないかもしれない。3日発表の政府統計では、非農業部門就業者数が前月比14万7000人増加し、失業率は4.2%から4.1%に低下した。トランプ政権は歓喜の声を上げたが、これは嵐にはならなかったという理由で曇りの日を祝っているようなものだ。
【社説】米経済を覆うトランプ政策の不確実性
減税法案可決は追い風になるが、なお通商政策が成長の重し
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