『子どものおしゃれにどう向き合う? 装いの心理学』書影『子どものおしゃれにどう向き合う? 装いの心理学』(鈴木公啓 ちくまプリマー新書、筑摩書房)

 それは、他者との関係性を構築したり維持したりといった重要な役割を持っていると考えられます。おしゃれは、集団の中での対人関係の構築など、社会生活を営むうえで重要なツールの1つでもあります。

 つまり、見た目を意識したり、装いをおこなったりすることは、決して悪いことだけではなく、むしろ人間としての成長や社会適応の点では重要な役割を果たしているものとなります。よく、見た目を意識することは、本業(勉強)の妨げになると捉えられたり、年相応でないために問題を生じさせやすいとネガティブに考えられることがありますが、決してそれだけではないのです。

 そのため、見た目を意識していることを頭ごなしにネガティブに評価したり、子どもに広がっているおしゃれを一律でよくないものとして対処することは、非常に乱暴な対応といえるかもしれません。適切な方向に向けてサポートすることも、大人や社会に求められている役割の一つといえるのです。