自分がどのような姿なのかを知ることは、自分が他者からどのように見られているかの推測につながりますし、そもそも自分とはいったいどのような人間なのかを考えていくうえでの基盤となるものです。
また、自分をどのように見せるかを考え、試行錯誤して、また、社会規範とすりあわせながら、場合によっては反発したりしながら工夫して自分を作っていくということは、社会で生きていく上で自分を乗りこなしていくという点、そして、社会に適応していくという点でも重要なことといえます。
そして、見た目を意識することは、装いに興味をもって取り組むことにもつながります。化粧や着装といった装いをおこなうことによって、自信が向上したり自己充足感が生じたりといったポジティブな状態になることができます(注4)。
それは子どもも大人も同じです。化粧や服装などの装いによって、自分のコンプレックスに向き合い、それを解消するといったこともあります。
「装い」は対人関係において
重要なコミュニケーションツール
装いは、自分と向き合う上で重要なツールの一つですし、そして社会で生きていく自分を作り上げていく重要なツールでもあります。そのため、見た目を意識して装いをおこなうということは、大切なことでもあるのです。
また、対人関係においても装いは重要な意味を持ってきます。学校等の仲間集団の中で、たとえば化粧や服装という表現手段は、同調や差異化、そしてコミュニケーションなどを生じさせています(注5)。
注4 鈴木公啓編著『装いの心理学 整え飾るこころと行動』(北大路書房、2020年)
注5 風戸真理「身体装飾をめぐる子ども・大人・社会の交渉」(『コンタクト・ゾーン』、9、347-366頁、2017年)
注5 風戸真理「身体装飾をめぐる子ども・大人・社会の交渉」(『コンタクト・ゾーン』、9、347-366頁、2017年)