スマホ・テレビ・ゴシップ……日常生活の99%はムダだらけ。しかし、ムダを捨てるためにいくら効率を良くし、生産性を上げても、他人の期待に応えているだけで、自分のためになっているわけではない。「依存のプロ」GoogleとYouTube出身の著者が生み出した、自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」とは? 27言語で刊行され、世界で累計30万部を突破している『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』をもとに解説する。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

「忙しすぎる」と感じたとき、元グーグル社員が考案した驚きの方法とは?Photo: Adobe Stock

移動中にも仕事をしないと片付かない…

「やっとホテルに着いたのに、もう寝る時間……」

 仕事は忙しく、移動も多い毎日。
 飛行機で次の都市へ向かい、移動中もSlackやメールの返信に追われているうちに、気づけば1日が終わっていた、という方も多いのではないでしょうか。

「移動中に少しでも仕事を片付けないと、間に合わない」

 そんなふうに自分を追い立てながら働き続けているのに、心のどこかで「自分の時間がない」と感じてはいませんか。

 元グーグル社員が実践していた、とてもシンプルな方法があります。では、どうすれば良いのでしょうか。

「Wi-Fiなし」で飛ぶ

「自分の時間がない」と疲れたときに試してみてほしいのが、「Wi-Fiなし」で飛ぶという戦術です。

戦術:「Wi-Fiなし」で飛ぶ
 フライト中はどこにも行けず、手もちぶさたで、ベルト着用サインが点灯しているあいだは座席に座っているしかない。(いい意味で)退屈にすごせる絶好の機会だ。

――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 フライト中は、立ち歩くこともできず、目の前にあるのは座席とテーブル、そして自分自身だけです。
 この「いい意味での退屈」は、強制的に何もできなくなる貴重なチャンスでもあります。

 この時間をより意味のあるものに変えるために、実践したいポイントが2つあります。

① スクリーンをオフにする

 座席に着いたとき、目の前のスクリーンがすでに点いていて、映画の予告が流れていることがあります。
 そのまま映画を選び、気づけば2時間が終わっていた……という経験はありませんか。

座席の前のスクリーンがオンになっていれば、席に着いたらオフにしよう。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 画面を消すだけで、目の前の空間が「情報のない場所」に変わります。

 映像や音が流れない静かな環境では、頭の中に余白が生まれ、自然と思考が整理されていくのです。

② Wi-Fiがあっても、あえてつながない

 最近は、多くの機内でWi-Fiが利用できるようになっています。
 つながる環境にあると、ついメールやSNSを開いてしまうものです。

Wi-Fiが使える飛行機では、サービスを申し込まないこと。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 あえて「返信できない状態」をつくることで、「今すぐやらなければいけない」と思っていたタスクの多くが、実は後回しでも問題なかったと気づくはずです。

 アクセスできないという“壁”が、無意識に繰り返していた習慣を一度リセットしてくれます。

「退屈」を取り戻すことで、自分の時間が戻ってくる

 仕事でも移動でも、効率ばかりが求められる毎日。
 そんな中で、1~2時間だけでも「何もしない時間」を持つと、世界のスピードが一瞬ゆるむように感じられます。

 その“ゆるみ”のなかで、忘れていた自分自身の輪郭が、少しずつ浮かび上がってくるのです。

 スクリーンを消し、Wi-Fiなしで空を飛ぶ。
 たったそれだけのことで、忙しさにとっぱらわれていた「自分の時間」が、静かに戻ってきます。

(本記事は、ジェイク・ナップ ジョン・ゼラツキー著『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』をもとに作成しました。)