「仕事は、結果がすべてだ」
いま、そんなメッセージを伝える本が注目されている。それが、ビジネス書『ベンチャーの作法』だ。ベンチャー転職支援のプロであり、1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験がある高野秀敏氏が、ベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめた。時代と逆行するようなストイックな内容だが、「今の時代に、ここまで忖度なく本質を教えてくれる本はない」と、ベンチャー企業の社員や経営者のみならず、大手企業で働く人にも注目されている。
デジタルマーケティング事業で成長中のWEB広告代理店「インフィニティエージェント」の代表・岡田裕平氏も、本書に共感した読者のひとり。社内のマインドセット構築に同書を活用しているという岡田氏に、著者の高野氏と共に話を聞いた。(ダイヤモンド社書籍編集局)。

きっかけは1冊の本と、SNSのコメント
――岡田さんと高野さんは、もともとつながりがあったのでしょうか?
岡田裕平(以下、岡田) SNSのアカウントも拝見していましたが、じつは高野さんとのお付き合いはもともとありませんでした。
当社の社員がSNSで『ベンチャーの作法』を紹介したところに、高野さんからコメントをいただいたのが始まりです。
弊社ではあの本を課題図書にしていまして、全社員が読んでいます。会社の経費で購入して、配ったんです。その流れで、ぜひ講演をしていただけたらとお願いをしたことが、交流のスタートです。

なぜ「超・後発」なのに成長できているのか?
――事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
岡田 私たちは自社を「マーケティングを起点とした事業創造会社」と位置づけています。
具体的には2つの事業がありまして、1つはデジタルマーケティングの支援事業です。お客様からご予算をいただき、手数料をいただくモデルで、売上の大部分を占めています。もう1つが、我々のマーケティング力や営業力を活かした自社事業です。具体的には、リフォームや不動産といった産業で、自分たちで実業を手掛けています。当社ではDX事業と位置付けていますが、集客・営業をデジタル化する一方で施工工事まで一気通貫で展開しています。

支援会社としての顔と、事業会社としての顔の両方を持っているのが、うちのユニークな点ですね。多くのデジタルマーケティング会社は、メディアやマッチングサイトを立ち上げて集客したリードをお金に変えるモデルが多い。ですが我々のように営業力があると、自分たちで事業を創造できる。それが強みかもしれません。
――デジタルマーケティングの会社は5000社以上あると聞きますが、その中でもトップ30に入られているそうですね。

岡田 はい。ただ、我々は超・後発なんです。
それでも右肩上がりに成長できているのは、まさに組織力や採用力、とくに未経験から人材を育てる力にあると思っています。新卒採用も積極的に行っています。
だからこそ、『ベンチャーの作法』に書かれているようなマインドセットが、ものすごく刺さりました。
社長に刺さっているから、社員にも伝わる
――高野さんから見て、岡田さんの会社はどのような印象でしたか?
高野秀敏 何かすごく変わったことをしているというよりは、非常にオーソドックスな事業内容で伸びている会社という印象です。だからこそ、採用や組織作りを大事にしているのだろうなと。その感度の高さが、おそらく『ベンチャーの作法』に興味を持ってくれた理由なのかなと思っています。
やはり、社長自身に刺さっているからこそ、社員にも伝わるんですよね。
メンバーが読んでいるっていう会社さんはもちろんあるんですけれど、経営者が「この本はいいよ」と言うと、社員の方も「社長が共感しているなら、これに沿って成長しよう」と取り組みやすい。そういう会社はすごく伸びると思います。

株式会社インフィニティエージェント 代表取締役
1989年、東京都出身。2012年大学在学中にベンチャー企業にインターンとして入社、新規事業責任者としてインターネットメディア事業の立ち上げを行う。2013年11月トランスコスモス株式会社へ入社し、デジタルマーケティングにおけるプランニング、オペレーション業務に従事。「セールスとデジタルを駆使し無限の可能性を引き起こす」を経営理念に、2015年5月、当社を創業。代表取締役に就任。
(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』に関連した書き下ろしです。書籍では「なにがあっても結果を出す人の働き方」を多数紹介しています。)