「仕事は、結果がすべてだ」
いま、そんなメッセージを伝える本が注目されている。それが、ビジネス書『ベンチャーの作法』だ。ベンチャー転職支援のプロであり、1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験がある高野秀敏氏が、ベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめた。時代と逆行するようなストイックな内容だが、「今の時代に、ここまで忖度なく本質を教えてくれる本はない」と、ベンチャー企業の社員や経営者のみならず、大手企業で働く人にも注目されている。
デジタルマーケティング事業で成長中のWEB広告代理店「インフィニティエージェント」の代表・岡田裕平氏も、本書に共感した読者のひとり。社内のマインドセット構築に同書を活用しているという岡田氏に、著者の高野氏と共に話を聞いた。(ダイヤモンド社書籍編集局)。

全社員で、「落ちたボール」を拾えるか?
――『ベンチャーの作法』の中から、とくに社員に学んでほしいと感じた部分はどこですか?
岡田裕平(以下、岡田) いくつもありますが、たとえば「落ちているボールを拾う」という部分ですね。
これ、ベンチャーあるあるだと思うんですけど、成長途上の会社には常に無数のボール(仕事や課題)が転がっています。でも、組織が大きくなってくると、このボールを拾う人がどんどん少なくなってくる。社員数が100人、200人になっても、全社員が「自らボールを拾う」マインドを持ち続けられるかどうかが、成功のための1つの課題だと思っています。
――それは現場のメンバーだけでなく、管理職の方々にも求められるマインドでしょうか。
岡田 むしろ、管理職の方がより求められることかもしれません。マネジメントの仕事の1つは仕組みを作ることですからね。自分で課題を見つけて、「これは問題なんじゃないですか?」と提起し、改善策まで提示して自ら手を動かせる。そういう人間がベンチャーでは活躍しますよね。
大きいものではなく、速いものが勝つ時代
岡田 他にも、書籍の中で私が共感したのは「スピードの重要性」です。
楽天の三木谷さんの言葉を引用されていましたが、アメリカの実業家であり、ニューズ・コーポレーションを立ち上げた世界的なメディア王であるルパート・マードックも同じことを言っています。「世界は急速に変化している。大が小を倒す時代は終わった。速いものが遅いものを制すのだ」と。
――御社は「後発」で市場に参入したそうですが、スピード感で勝ち残ってきたという実感がありますか?
岡田 はい。時代の変化もそうですし、「これをやろう」と決めたときに、いかにスピード感を持って立ち上げられるかを重視してきました。
今は情報社会ですから、同じようなことを考えているサービスがすぐに立ち上がってしまいます。そうなると、もうスピード勝負。早く始めたものが勝ちます。
超速でPDCAを回すことが、ベンチャーならではの強みなんですよね。

株式会社インフィニティエージェント 代表取締役
1989年、東京都出身。2012年大学在学中にベンチャー企業にインターンとして入社、新規事業責任者としてインターネットメディア事業の立ち上げを行う。2013年11月トランスコスモス株式会社へ入社し、デジタルマーケティングにおけるプランニング、オペレーション業務に従事。「セールスとデジタルを駆使し無限の可能性を引き起こす」を経営理念に、2015年5月、当社を創業。代表取締役に就任。
(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』に関連した書き下ろしです。書籍では「なにがあっても結果を出す人の働き方」を多数紹介しています。)