一般的に、外資系企業はすぐにクビを切ると言われます。確かにそういう一面はあります。ですが、業績が振るわない社員に対して社外での活躍を提案する場合には、しっかりと手順を踏みます。

 1年目。まずは「あなたは低業績者です」と、期待と現実のギャップを示します。

 ほとんどの低業績者は、実は自分がそうだと思っていません。基本的に、「自分は一生懸命やっている」と思っています。

 仮にそうだとしても、低業績者であることに変わりはありません。

 なぜか。貢献度が低いからです。低業績者は低貢献者とも言えます。

 次に、どうしたら来年は業績を上げられると思うかを尋ねます。

「あなたの強みはこういう所ですよね。そして伸びしろはこういう面でしたね。以前はこんなこともできましたよね。そこで来年はこういうことをやってほしいんです。そのためには、こういう強みを生かせますよね。上司として、私に何をしてほしいですか?どうですか、できますか?できる?では、来年もがんばりましょう」と約束します。

成果が出ない社員には
改善支援と対話のプロセスを

 そして2年目。「去年こういう目標を立てましたが、できませんでしたよね。もう一度ふり返ると、あなたの強みはこういう所で、伸びしろはこういう点ですよね。そうしたら、今年はこういうことをやってみてはどうでしょう?これならいけそうですか?いける。では、今年はがんばりましょう」

 このようなフィードバックを2年、3年と繰り返します。そして初めて、「お互い一生懸命やりましたが、成果が出ませんでしたね。ということは、あなたはやはり、この会社には合っていない。この会社で成果を出すのは難しいと言わざるを得ません。サポートをしますから、社外に活躍の場を求めたほうがいいのではないですか」という話に移っていきます。

 これは「できなかったからクビを切る」ための手順ではありません。低パフォーマンスに陥っている人の改善をサポートし、取り返しがつかないことになる前に救うマネジメントです。

「クビになるのでしょうか」という質問に対しての回答はこうです。

「会社からあなたを解雇する(会社から一方的に労働契約を解除する)ことはしません。ただ、あなたの仕事ぶりは当社で働くべきレベル・内容ではないと考えられます。したがって、その事実を説明しています。ですから、来年がんばってくれればよいというお話で、それを約束してほしいのです」