「生成AI」「仮想通貨」など新しい技術の言葉を聞いたとき、「拒絶する」「受け入れる」。あと1つの反応とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「生成AI」「仮想通貨」など新しい技術の言葉を聞いたとき、「拒絶する」「受け入れる」。あと1つの反応とは?Photo: Adobe Stock

テクノロジーに対する3つの反応

 新しいテクノロジーを目の前にしたとき、どんな反応をするでしょうか。

 イギリスの脚本家であり、SF作家としても著名なダグラス・アダムスは、人々の年齢とテクノロジー受容の関係について興味深い洞察を示しています。

 それはダグラス・アダムスの法則として知られています。

 この法則は、組織がテクノロジー導入や変革をおこなう際、各世代がどのような心理的反応を示すかを理解するための有益な指針です。

1.受け入れる:自分が生まれたときにすでに存在しているテクノロジーは、自然の一部と感じられる
2.ワクワクする:15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられる
3.拒絶する:35歳以降に発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる

 これらを順番に説明していきましょう。

1│自分が生まれたときにすでに存在しているテクノロジー

 人は、生まれる前から存在するテクノロジーを、疑問を抱くことなく自然な生活の一部と受け入れる傾向にあります。

 たとえば、デジタルネイティブと呼ばれる若い世代にとって、インターネットやスマートフォンは生まれたときから存在しています。

 それらを、特別な技術ではなく、当たり前に存在する「生活基盤」として受け入れるのです。

 たとえば、私たちは電気がなかった時代の生活をイメージできません
 それは電気が生まれた瞬間から生活に溶け込んでいたからです。

 生まれた瞬間から存在するものは、どこまでが自然物でどこまでが人工物なのかが曖昧になるのです。

2│15歳から35歳の間に発明されたテクノロジー

 人間が最も柔軟で好奇心旺盛な時期に登場する技術は、革新的でポジティブに受け取られやすいものです。

 生成AIや、仮想通貨、仮想現実、ブロックチェーンなども、この年齢層にとっては非常に魅力的に映ります

 積極的に新技術を学び、自らのキャリアの一部とする傾向があるでしょう。

3│35歳以降に発明されたテクノロジー

 35歳を過ぎると、多くの人は新しいテクノロジーに対し、抵抗感や懐疑心を抱きやすくなります

 この現象は、組織が新しい技術を導入する際に一部の社員から反発を受けやすい原因ともなります。

 35歳というのは人間にとって新しいものを習得できなくなる分かれ道の年齢であることは、古今東西、変わっていないようです

 この年齢をどう乗り越えるか。

 そのヒントになるのが、「ゆるストイック」です。

 他者へのゆるさを持ちつつ、自分にはストイックに生きる。そのスタイルを身につけましょう。

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。