日経平均株価の大激震が5月23日に始まって、まだその行方を見定められない。23日の下落幅は▲1134円、30日の下落幅は▲737円、6月3日▲512円と続き、わずか11日間で累計▲2300円もの大幅な下げを記録した。
当初の段階では、株価は、①行き過ぎた株価上昇の反動、②海外株価は崩れておらず、日本株特有の調整、③日本のファンダメンタルズは堅調、という3点の理由から、「それほど悲観的に見る必要はない」という理解が主流だった。
しかし、ここにきて日経平均株価の下落以外にも、株価下落の動きはアジア、欧州へと広がっている(図表1参照)。時間が経過するほどに、少しずつ事態はもっと深刻なのではないかという認識に変わってきているのが実情だ。
以下では、今回の相場変動が、日本株特有のものではなく、もっと広範囲で起こっている現象であることを確認してみていきたい。
1ヵ月前の金価格暴落
日経平均株価の大暴落の手前で、マネーの変調を知らせる変化が起こっている。NY金相場が4月15・16日の2日間で▲13%も急落したショックである(図表2参照)。このときは、金価格の下落は「炭鉱のカナリア」と言われた。
この例えは、炭鉱のガス爆発の予兆を調べるためにカナリアを連れて入ることになぞらえている。金市場は規模が小さく、投機マネーが流入するとバブルが起こりやすい一方、新興国に変調が起こった場合は、投機マネーの流出によって相場の乱高下を起こしやすい。