社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

自分の「強み」を伸ばせる人と、伸ばせず失速する人。その決定的な違いとは?Photo: Adobe Stock

「強み」の種は1つではない

強みの種は、1人1つずつではありません。私たちは複数の強みの種を持っており、それぞれの種が異なるタイミングで、異なる刺激に反応します。

複数ある強みの種を、全て同時に育てる必要はありません。

強みの種は、自分の成長速度に合わせてアピールをします。一定レベルまで知識や経験を得ないとアピールしない種や、他の種が育ってから出てくる種もあるので、今の段階で気づけない強みの種があっても大丈夫です。

強みの種のアピールに応えて、「知識や経験」という水や栄養にあたるものを与えることで、強みの種は芽を出し、成長していきます。

例えば、「物を作ること」に関連する強みの種がある人は、作品製作の様子を見ると「やってみたい」と思い、製作の道具を見ると「触ってみたい」と感じます。

「人と話すこと」に関連する強みの種がある人は、話している人を見ると「私も話したい」と思い、人が集まっている場所に「行ってみたい」と感じます。

「強みの種」のアピールに答えて、水や栄養となる「経験」を増やす

この気持ちを受け止めて、物づくりに挑戦したり、多くの人と会ったりすることが、強みの種にとっての水や栄養となります。

どういった場でどのように刺激を与えていくかで、どのような芽が出るかが決まります。意識して経験を増やすと、成長が加速します。

「強みの芽」が出ると、自分の言動として反映されるようになります。意識せずとも自然とやってしまうようになるのです。例えば、次のような言動です。

頼まれなくても人の相談に乗ってしまう
・気づいたら物事の関連性を図に書いている
・つい段取りを考えてしまう
・自然とグループの調整役を担っている

ただし強みの「芽」の段階ではいつでも安定してプラスの効果が生みだせるわけではありません。時には空回りしたり、うまく活かせなかったりします。

「強みの芽」は育て方次第で良くも悪くもなる

空回りする例として、次のようなことが挙げられます。

・人の話をつい聞いてしまう強み → 〇相手の本音を引き出せる ×自分の時間を使いすぎる
・アイデアが自然に出てくる強み → 〇新しい解決策を提案できる ×空想に終始する
・細部に気がついてしまう強み → 〇抜け漏れを防げる ×完璧主義で進まない

つまり強みの芽を育てずに放置していたら、実践で役立つものにはならない可能性もあるのです。

強みの芽は意識的に使いこなし、良い花が咲くように育てていく必要があります。

強みの芽が育って花開くと、つねに良い結果につながる思考や行動ができるようになります。

本来の自分が持つ強みの種から咲いた花は、自分オリジナルの美しさを持ち、この花が連なる道は、理想の自分につながっていきます。

*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。