「貿易戦争」の時代から
「補助金戦争」の時代に

2022(令和4)年8月、アメリカでは「CHIPSプラス法」が成立した。「CHIPSプラス法」では、半導体の製造能力増強に関するアメリカ国内への民間投資に対して、5年間で390億ドルの資金援助を行うこと、および110億ドルを半導体関連の研究開発プログラムに投じることになっている。1ドル150円で換算すると、それぞれ5兆8500億円、1兆6500億円という巨額な補助金・研究開発費である。
アメリカでは、2023(令和5)年3月からは補助金の申請の受け付けが始まり、企業に多額の補助金が給付されるようになった。
2022(令和4)年のダボス会議でのことである。古くからの友人であるローレンス・サマーズ教授は名言を吐いた。「今まではトレード・ウォーが問題だったが、これからはサブシディ・ウォーが問題だ」と。「貿易戦争」の時代は終わり、「補助金戦争」の時代になったということである。