
1980年代、隆盛を極めた日本の半導体産業は今、他国に押されて見る影もない。しかし、経済学者の竹中平蔵氏は米中対立の激化により新たな追い風を受けつつあると指摘する。日本の半導体産業復活の条件とは?※本稿は、竹中平蔵『日本経済に追い風が吹く』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。
かつて世界一だった
日本の半導体産業
1980年代半ば、日本の半導体産業は隆盛を誇っていた。1986(昭和61)年には日本の出荷シェア(46%)がアメリカを抜いて世界一になった。1988(昭和63)年には世界市場の50.3%のシェアを獲得した。バブルの絶頂期のことである。
しかし、隆盛は長くは続かなかった。「驕れる人も久しからず」の名言もある。日本の半導体産業は、その後、凋落の一途をたどることになる(下図)。

なぜそうなってしまったのか。その要因は2つある。
1つは、アメリカからのバッシングだった。出荷シェアで世界一になった1986(昭和61)年に「日米半導体協定」の締結を余儀なくされる。「アンチダンピング法」などを組み合わせた貿易規制で、典型的な日本たたきだった。日本国内で海外製半導体のシェア20%を保つようにも求められた。