ロンドン、ニューヨークと
並び立つ東京の本当の魅力

 日本は「失われた30年」といわれる。一方で、東京は明らかに良くなった。東京の再開発が進み、都市の魅力は高まった。

 一般財団法人森記念財団の都市戦略研究所は、2008(平成20)年以降、毎年、世界の48都市を対象にした「世界の都市総合力ランキング」(GPCI)を発表している。2024(令和6)年、東京は第3位だった。第1位ロンドン、第2位ニューヨーク。パリは第4位、シンガポールは第5位と続く。

 訪日外国人の多くが、東京は面白いと言う。六本木、銀座、日本橋、新宿、渋谷、池袋、浅草というように、いろいろな街を楽しむことができるというのが1つの理由である。東京の魅力はますます高まる。それは地方からの「東京回帰」の一因にもなっている。

 東京の一極集中が地方の疲弊を招いているという議論がある。だが、それは間違っている。東京は世界の都市と伍していくために強くならなければいけない。地方の疲弊の責任を東京に擦りつける議論は生産的ではない。地方は、地方として強くならなくてはならない。「東京か、地方か」というようなゼロサムの発想になることは、避けなければならない。

 東京に対しては「集積しすぎる」という批判がある。都市に集積するのは当然のことだが、東京ほど集積している都市は世界にも稀だからである。

 実は、都市には重要な機能がある。それは「イノベーションの場所」である。著名な経済学者のJ・A・シュンペーターは「イノベーション」を当初「新結合」という言葉で表現した。

 都市とは、新しいさまざまな結びつきができる場所である。東京にはさまざまな人がいる。多数の企業があり、多種の情報が飛び交っている。それが東京の魅力を生み出し、イノベーションを可能にしている。

 都市はまた、新しいライフスタイルを発信する場所でもある。新しいファッション、新しいビジネスなどの新しいライフスタイルを提供する場である。そういう意味での東京の魅力は大きい。