
地方創生担当大臣なども歴任し、現在では内閣総理大臣に就任した石破茂氏。同氏は、地方自治や地方創生の問題について、どう考えているのだろうか。石破氏がよくされるという質問に答えていく。本稿は、石破茂『私はこう考える』(新潮新書)の一部を抜粋・編集したものです。
地方創生の政策は
政争の具にすべきでない
「そもそも地方議員の数が多すぎるのではないでしょうか。税金を節約するのならばそこから始めればいいじゃないですか。夜間に議会をやることにしてボランティアでやればいいのでは」
平成の大合併等の効果もあって、定数は実際にかなり減ってきました。
夜間、あるいは休日に議会を開く、といったアイディアもよく聞きます。私はいいことではないかと思います。
しかし、そうした改革は国が主導してやるものではなく、地方自治の本旨に則り、住民の要求に基づいて行うべきものだと思います。議会も住民が選んでつくっていただくものです。何人の、どういう規模の、どういうシステムの議会にするかも、みなさんの選択で決められるべきものなのです。
地方議会の良いところは、大都会の議会に比べて、住民との距離が近いところです。せっかくアクセスしやすいのですから、「どうせ役に立たない」「要らない」という前に、地方議員も大いに活用して頂きたいと思います。
「結局、『地方創生』という取り組みも政権が変わったらまたご破算になるのではないですか」
確かに内閣が変わったり、政権交代が行われたりすると、前の内閣の取り組みがおざなりになったり、立ち消えになったりすることがあります。
しかしこの問題については与党、野党で対立し、政争の具にすべきではないはずです。人口減少を食い止め、地方を再生するためには、何とかここまで積み上げた取り組みを永続的なものにしたいものです。
一部の地方にはいまだに「国主導」を望むような依存体質があるようにも感じられます。簡単にいえば「お金をくれればいい」ということです。
これまでの首長は「お金をください。事業をつけてね。企業をくださいね」ということを中央でアピールするのが仕事だったという面は否定できません。
しかし、それでは立ち行かないようになっているのはこれまでに述べてきた通りです。