「女の子は進学も就職も地元で良い」このような言葉で進路を狭められている地方女子の問題に立ち向かうのが、江森百花氏と川崎莉音氏だ。2人はNPO法人#Your Choice Projectの代表として問題に取り組み、2024年にはForbes Japanによって、世界を救う希望「NEXT100」に選ばれている。都会に出た地方女子が地元に戻らない原因を探り、対策を講じなければ、地方に未来はないだろう。※本稿は、江森百花・川崎莉音『なぜ地方女子は東大を目指さないのか』(光文社新書)の一部を抜粋・編集したものです。
地方の女性流出、
その深刻な現実
「地方女子学生が首都圏の大学に進学できていない」という課題に触れる時、避けては通れないのが地方からの女性の流出という論点です。
地方からの人口流出が叫ばれる昨今、私たちの主張に対して、これ以上女性の流出を促進するのかとの批判を受けたこともありました。ここでは、地方創生と女性の活躍の関係を探りたいと思います。
地方の人口流入・流出を測る指標の1つが、「転入超過数」です。市区町村または都道府県の転入者数から転出者数を差し引いた数をいいます。転入超過数がマイナスの場合は、転出超過を示します。
住民基本台帳人口移動報告(総務省統計局)によると、2022年度で転入超過なのは1都3県に加えて福岡・大阪・滋賀・長野・山梨・茨城・宮城の計11都府県で、それ以外は全て転出超過となっています。
さらに、転出超過の県のうち、29道府県で、男性よりも女性の方が転出者数が多くなっています。特に顕著なのが若年女性の流出で、20代女性は東京都や大阪府などの5つの自治体を除く都道府県で転出超過となっています。