「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」
ベストセラー『「悩まない人」の考え方』著者の木下勝寿氏がそう絶賛する本がある。『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』だ。18年連続増収増益・年商146億円の企業FIDIAを率いる著者の森武司氏が本書で語るのは「事業において一番大切なのは“仲間力”だ」というメッセージ。今回登場するのは、FIDIAグループのFIDIA SOLUTIONSで営業担当を務める岡田将司氏。3度の転職を経験した岡田氏が過去の“苦しかった職場”を振り返りながら語った、「仕事を辞める時の判断基準」と「仕事で一番大切にしていること」とは?(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

トップダウンの職場で感じた「限界」
――『スタートアップ芸人』では「事業は誰とやるかが一番大事」とありますが、岡田さんもそう実感する瞬間があったそうですね。
岡田将司(以下、岡田):はい。僕はFIDIA SOLUTIONSが4社目で、過去に3回転職していますが、最初の会社を辞めた時に自分の中で気づいたことがありました。
新卒で入ったのは、東京の一部上場IT企業。そこで3年ほどお世話になりました。
社長は非常に優秀な方でしたが、組織はトップダウン型でした。
もちろん、トップダウンには「決断の速さ」という利点があります。
ただその会社では、現場の声がほとんど反映されず、社長の一存で全てが決まるという体制でした。
役職者たちも「きっと皆さん意見もあると思うんですけど、社長が“こうしろ”とのことなので、何も言わずに従ってください」と通達するだけ。
だから、会議も意味がないんです。
会議は意見交換ではなく、決定事項の読み上げの場になっていました。
――話し合いの余地がないというのは、働きづらそうですね。
岡田:そうなんです。現場からすると「このサービスのほうがいいんじゃないか」という改善提案をしても、「社長の方針だから」で一蹴される。
そうなると、自分の考えを持つこと自体が無意味に感じてしまうんです。
加えて、社内の人間関係も厳しかったです。
役員の人事が“社長の好み”で決まり、部下に対して怒鳴るような人がずっと残っていたり、派閥争いが絶えなかったり……。
評価はしていただいていたのですが、社内政治に巻き込まれることも多くて。
派閥争いでモメているA部長とB部長のどちらからも「うちにほしい」と言われたりして。派閥の板挟みになって正直、心がすり減っていました。
「辞めたい」の本当の理由に気づけた瞬間
――退職の決め手になったのは、何だったのでしょう?
岡田:やっぱり、人間関係ですね。
上司の人間性に幻滅することもあったり、仲のよかった同期や先輩がどんどん辞めていったり。自分の中で心の支えがなくなっていたんです。
そんなとき、「なぜ自分はこの仕事をつらく感じるのか?」と立ち止まって考えたんです。
そのときに初めて、「業務内容ではなく、“人”が理由だ」と気づきました。
僕は、「信頼できる人と働けないこと」が一番しんどかったんです。
逆に言えば、「誰と働くか」が自分にとって一番大切だった。
仕事内容以上に、尊敬できる仲間や信頼できる人と気持ちよく働けるかどうかが、仕事の充実度を決めていたんです。
そこから、辞めていく人たちのケアや支援をしたいと考えるようになって。心理ケア業界に行くために、会社を辞めました。
――『スタートアップ芸人』でも、「事業で一番大切なこと」は「誰とやるか」だと語られていますね。
岡田:本当にそう思います。
人間関係がうまくいっていないと、どれだけ業績が良くても、どれだけ給料が高くても、心は満たされないんですよね。
今、しんどさを感じている人へ
――もし、今の職場に違和感があるとしたら、どこを見直せばいいと思いますか?
岡田:業務内容や待遇だけじゃなくて、「誰と働いているか」にも目を向けてみてほしいです。
今つらい人って、たいてい“自分一人でなんとかしなきゃ”って思い詰めていることが多い。
でも、本当は「この人と一緒なら頑張れる」って思える仲間がいるだけで、全然違うと思うんです。
僕自身、仲間と気持ちよく働けるようになってから、仕事の見え方が変わりました。
――まさに、『スタートアップ芸人』の中で森さんが繰り返し語っている「仲間力」ですね。
岡田:はい。「仲間力」って、単なるチームワークとか精神論じゃなくて、“誰とやるか”を本気で大事にした結果、生まれる力だと思います。
今の仕事にモヤモヤしている人ほど、一度読んでみてほしいですね。
自分が抱えていた悩みの正体が、見えてくるかもしれません。
(本書は『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関する特別投稿です。)