「うちの奥さん、性格良すぎる」
そんな言葉を、職場でさらっと言える人はどれだけいるだろうか。
今、ベストセラー『「悩まない人」の考え方』著者の木下勝寿氏が「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」と絶賛する本がある。『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』だ。著者の森武司氏が率いるFIDIAは、創業以来18年連続で増収増益を達成し続けている注目企業。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か?
今回は森氏の幼なじみであり、現在はFIDIAで働く西健志氏にインタビュー。家族も仕事もうまくいく秘訣とは一体何か。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

家族との関係の根底にあるもの
――著書『スタートアップ芸人』の中で、森社長は「家族への感謝を習慣にする」ことの大切さに触れています。長年の友人として、それを実感したエピソードはありますか?
西健志(以下、西):いやもう、本当に……自分でも耳が痛い話なんですけど(笑)。
森はね、奥さんに対して本当に尊敬と感謝の気持ちを持って接しているんですよ。
たとえば、男同士で集まったときって、軽いノリで奥さんの愚痴をこぼしたりするじゃないですか。
「最近うちの嫁がさ~」と、ちょっとした自虐ネタみたいに。
でも、森にはそれがまったくない。驚くほど一切ないんです。
プライベートでも、仕事の場でも、奥さんがいないところでも、ずっとほめているんです。
いないところでほめると、
起こること
――実際、どんなふうにほめているんですか?
西:もうね、ちょっと自慢混じりに堂々と言うんです。
「俺、奥さんとめちゃめちゃ仲いいで!」
「一番の理解者やし、仕事のこともよう話すし、性格めっちゃいいし」
すると、それを聞いている側も、だんだん「うちも仲いいで!」と言いたくなってくる(笑)。
なんというか、森が家族への感謝を口にする姿って、まわりにもいい影響を与えてるんです。感謝の連鎖というか、良い言葉が自然と広がっていく感覚がありますね。
社長業の持久力になるものとは?
――本人に対しても、きちんと感謝を伝えているのでしょうか?
西:そこは私も直接見ているわけではないですが、言動からして間違いなく伝えていると思います。
実際、森は社長という激務の中でも、土日は家族としっかり過ごしているし、仕事のこともよく話しているみたいです。
社長って、24時間365日、完全オフがないような仕事だと思うんです。やむをえない理由で、家族との約束を破ってしまうようなことだってあるかもしれない。
でも、普段からしっかり感謝を伝えて、家族を大事にしていたら、「事情があったんだ」というのがきちんとわかってもらえると思うんです。
もし家族との関係が冷えていたら、ちょっとしたすれ違いでパンクしてしまいますよね。
……と、こんなふうに偉そうに言いながら、私自身は妻をよく怒らせてしまうので(笑)。
本当に、森を見て反省することばかりです。
家庭をないがしろにする人の末路
――「仕事と家庭の両立ができない…」と悩むビジネスパーソンにとって、森さんの姿はひとつのヒントになりそうですね。
西:まさに、そこが本質だと思うんです。
仕事って成果や数字が目に見えるから、ついつい家庭より優先しがちじゃないですか。
でも、実は家族との信頼関係が整ってないと、仕事のパフォーマンスにも影響してくるんです。仕事に集中できないとか、精神的に落ち込むとか、無意識のうちに崩れていく。
家庭をないがしろにして仕事だけ頑張っても、結果的にどちらもうまくいかなくなる。
でも逆に、家庭で信頼を得られる人は、職場でも信頼される。
森はそれを体現してますね。
信頼を削るワーストな習慣
――家庭と仕事の両立に悩む読者へ、最後にメッセージがあればお願いします。
西:家庭と仕事は、実は表裏一体です。
「家庭がうまくいってないけど、仕事は頑張っている」という人、本当に多いと思うんです。
でも、自虐ネタのつもりで話していた“嫁の愚痴”が、実はあなたの信頼を少しずつ削る最悪な習慣・ワースト1かもしれません。
一方、パートナーへの尊敬や感謝の言葉を“わざわざ言葉にする”という行為は自慢しているようで照れくさいかもしれませんが、周囲に「この人は他人を大切にできる人だ」という安心感を与えます。まずは、“いないところでほめる”をやってみてください。
パートナーへのリスペクトを口にすることで、自然と感謝の気持ちが行動や表情に出てきます。
その積み重ねが、家庭に温かい空気を生み出していく。
結果的に、家庭だけでなく職場でも信頼を得やすくなり、仕事の判断力や持久力にも確実に影響が出てきます。
森を見ていて、僕自身がそれを実感しています。
家庭も仕事もあきらめないためのヒントが、『スタートアップ芸人』には詰まっていると思います。
(本書は『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関する特別投稿です。)