ベストセラー『「悩まない人」の考え方』著者の木下勝寿氏が「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」と絶賛する本がある。『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』だ。著者・森武司氏が創業したFIDIAでは、いまも“仲間力”を重んじる文化が息づいている。今回はその森氏のもとで働く現役社員・山口貴一氏にインタビュー。「すぐ辞めない優秀なインターン生をどう採用するか?」をテーマに、FIDIAの採用文化とそこに込められた想いを語ってもらった。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【本音】「入社したくない」と思われる会社の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

インターンで“手伝い”を超える経験ができるかどうか

――『スタートアップ芸人』では、「すぐに辞めない優秀なインターン生を採るには?」というテーマが書かれていました。
実際にインターンを経験し、いまはFIDIAで働いている山口さんは、どう感じていますか?

山口貴一(以下、山口):まず、僕自身の経験からお話しさせていただきます。

僕はFIDIA(当時の社名はSuprieve)で3回インターンを経験しました。

中でも印象的だったのが、1500人の正社員から約100人が参加した「ビジネスコンテスト(ビジコン)」で優勝したことです。

――3回もインターンされていたんですね。
どんな流れだったのでしょうか?

山口:1回目のインターンは、会社から声をかけてもらって参加しました。

FIDIAの会社説明会を企画するという内容でした。
2回目は翌年度の新卒向けインターンの企画。どちらもすごく面白かったんです。

というのも、インターンなのに“お手伝い”ではなかったんですよ。
一般的には正社員が企画して、学生はサポート役に回ることが多いじゃないですか。

でもFIDIAでは、インターン生主体で、企画の内容から当日の進行まで任せてもらえた。
自分たちのアイデアを出し合いながら、ゼロから形にしていく経験ができたんです。
それがめちゃくちゃ嬉しくて。「この会社に入りたい」と思うようになりました。

学生の企画書が、実際に採用される

――3回目のインターンでは、さらにすごい経験をされたとか。

山口:はい。これは今思うと自分でも本当にぶっ飛んでいたなと思うんですが、僕が自分で企画書を作って会社に持っていったんですね。

――えっ、学生のうちから会社に企画書を持ち込んだんですか?

山口:そうなんです。

当時、日本全体の採用活動に課題を感じていて、「学生ってこういう時期にこういう気持ちになる」「企業はこういう動きをしている」「だからこういう企画をやったらインターンが集まるんじゃないか」といったことをまとめた企画書を提出しました。

今見ると、内容は稚拙だったと思うんですけど、採用チームの皆さんが真剣に受け止めてくれて、ブラッシュアップまでしてもらえて。

最終的には、その企画を本当に実施させてもらったんです。

――それは感動しますね。

山口:はい。自分の考えがしっかり届いて、形になるって本当にすごいことだなと思いました。

「辞退しない」内定者に共通するのは、
“本気で向き合った経験”

――その頃には、すでに内定も出ていたんですよね?

山口:そうですね。だから、3回目のインターンの感動は、内定を辞退しなかった理由としても大きかったんです。

世の中には、内定をもらっても入社前に辞退する学生って結構多いと思うんです。

でも、FIDIAでは主体的な行動も持ち込み企画も受け入れてもらえた。

それで「この会社面白いな」と思って、最終的に入社を決めました。
実際に入社してからもう6年目ですが、今でもこの会社が好きです。

――今、振り返ってみて、「すぐ辞めない優秀なインターン生」を採るために大事なことって、何だと思いますか?

山口:やっぱり、「主体性を引き出せるか」ですね。

やりたいことがある学生を歓迎する文化があるか

FIDIAにはそれがあったから、僕も本気で取り組めたし、今もここで働き続けられています。

――逆に、「入社したくない」と思われる会社の特徴は?

山口:やっぱり、“見せかけだけ”の会社ですね。

たとえば採用段階では「自由にチャレンジできる環境です」と言っていたのに、いざ入社してみたら全然裁量がなかったり、意見が通らなかったりするケースってあると思うんです。そういう「ギャップ」があると、一気に熱が冷めてしまう。特に今の学生って、情報感度も高いし、そういう違和感にすぐ気づくと思うんですよね。

FIDIAでは、インターンの時点から“本番”です。学生であってもプロジェクトの主導を任され、自分たちで形にしていく。その分プレッシャーもありますが、「言っていることとやっていることが一致している」会社なんだと信頼できました。

自分の物語と重なる一冊

『スタートアップ芸人』を読んでみると、「あ、これ自分だ」と思う場面もあって驚きました。インターンや採用に関わっている方、これから就活する学生にも、すごく参考になる一冊だと思います。

(本稿は『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関する書き下ろし記事です)