バラマキ経済・財政政策が続くと
日本も財政破綻、ギリシャの二の舞いに
財政赤字と国債発行残高が増えると、国の信用力は低下し、国際的な主要信用格付けで日本は格下げされるだろう。格下げにより、投資家の中には日本国債を購入できなくなるところも出てくる。一部の政府系ファンドは、信用格付けがA(シングルエー)格以上でなければ投資できないルールを定めているからだ。
財政悪化・格下げにより金利が急騰し、財政破綻に陥った国は多い。今から15年前、ギリシャは国債を発行できなくなり財政破綻した。バラマキ型の経済・財政政策が続くと、わが国がギリシャの二の舞いになることも考えられる。
その意味で、今後の政策運営は財政破綻のリスク上昇要因になり得る。そのリスクを低下させるためには、どうしても経済成長を実現する必要がある。GDPをパイに見立てると、わが国経済は人口減少で縮小均衡に向かうだろう。
だからといって成長は不可能というわけではない。経済成長は労働、資本、全要素生産性(いわゆるイノベーションによる部分)の3つの要素からなる。人口減少によって労働力は減少するが、企業が先端技術を導入するなどして生産性を高められれば、GDPは増えるはずだ。そのためには日本人ひとりひとりが新しい価値観、チャレンジ精神を持たなければならない。
今の日本に必要な政策は、成長戦略だ。自動車の自動運転や省人化投資促進のための規制緩和や、税制面優遇によるインセンティブ付与、さらには労働市場の流動性を高めるためのマッチング、学び直しなど枚挙にいとまがない。その中でも、世界経済の成長を牽引するAI関連分野の底上げは急務だ。
しっかりした成長戦略を策定し、それを着実に実行する。旧来の規制やルールを、現在に合ったものに改革する。それにより、GDP=パイを大きくする。そうした中で、世代ごとの社会保険料負担を見直し、一般会計予算に占める社会保障関係費の圧縮も必要になるだろう。ただし、それは痛みを伴う改革だ。
痛みを避けて、近視眼的マインドな分配偏重の政策を続けると、いずれ財政の持続性は失われる。このままでは日本経済は良くならない。わが国の行く末を憂うばかりだ。