・禁煙治療の補助

 ウェアラブルのセンサーを利用して禁煙を支援する試みも進んでいる。イギリスの研究グループは、スマートウォッチの加速度センサーで喫煙特有の手の動きを自動検出し、「まさに一服しそうな瞬間」にリアルタイムで励ましのメッセージを表示するアプリを開発した。

 たとえば、腕を口もとに運ぶ動きから喫煙の兆候を検知すると、「深呼吸して踏みとどまりましょう」「禁煙すると息が楽になりますよ」などの応援メッセージがバイブレーションとともに時計画面に表示される。こうした試みは、従来の禁煙外来の支援アプリと並んで、新たな禁煙補助のアプローチとして注目されている。

 筆者の個人的な感想では、「まさに一服しそうな瞬間」に励ましてくれるのはありがたい。長年の生活習慣病を変えるのは、簡単そうで実はとても難しい。減塩生活やダイエットでくじけそうになったとき、絶妙のタイミングで励ましてくれるコーチのようなアプリは今後、伸びていくのではないだろうか。

実は脳卒中の一大原因に
心房細動の早期発見は可能か?

 数あるスマートウォッチのヘルスケア機能の中でも、高尾氏が特に注目しているのは「心房細動の早期発見機能」だという。

「第一の理由は、心房細動は脳卒中の主要な原因であり、早期発見が極めて重要だからです。高血圧の人は正常血圧の人より心房細動を発症しやすく、その兆候をできるだけ早く捉えて治療介入することが、脳卒中発症の予防に直結します」(高尾氏 以下同)