じつは、この高血糖、高血圧、高脂質の3つは、メタボリックシンドロームを定義づける危険因子でもあることはご存じでしょうか。
生活習慣病を招く
メタボの恐ろしさ
みなさんも「メタボ」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、メタボことメタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖、高血圧、高脂質の危険因子のうち2つ以上が重複した状態のことを指します。
日本人の食生活は第2次世界大戦の終結を機に大きく変わり、動物性たんぱく質や脂質の摂取量の増加、生活環境が安定したことにともなって肥満が増えていきました。
とくに男性は戦後から肥満指数(BMI)の上昇が止まらず、今では40~60代で3人に1人以上、全体でも約3割が肥満に数えられるほどです。
世界的にはBMI30以上で肥満と判定されますが、日本を含む東アジアと南アジアではBMI25以上が指標とされています。
これは、アジア圏の人たちが内臓脂肪を溜めやすい傾向や、そもそも欧米人と比べてBMIが平均的に低いことに起因し、BMI25以下でも2型糖尿病や循環器疾患の発症リスクが高いとされているからです。
高血糖は糖尿病性腎症を、高血圧は腎硬化症を、高脂質は動脈硬化を、それぞれ引き起こします。
同時に、トリプルリスクは心筋梗塞(こうそく)や脳卒中といった心血管疾患の危険因子でもあるため、やはり運動療法によって正常値にすることが求められます。
また、メタボになるような食生活では、プリン体も過剰に摂取している傾向にあるため、高尿酸血症にもなりやすいでしょう。
高尿酸血症は、腎臓に尿酸が蓄積して炎症を起こす痛風腎の原因となり、腎臓の機能にも大きなダメージをもたらします。
このようにメタボリックシンドロームと生活習慣病、慢性腎臓病は、トリプルリスクの危険因子であり、それぞれが密接にかかわっているため、メタボにならないよう対策をすれば、それが結果として慢性腎臓病の予防にもつながっていきます。