その理由は明々白々。治療のためと休んでいたことによって、筋肉量が大幅に減ってしまっていたのです。

 何ヵ月も安静にすることを求められていたのですから、無理もありません。

 今でこそ「安静にしていると、かえって寿命が縮まる」という考え方が主流になってきましたが、当時は病院では安静にすることが正しいと信じられていたのです。

 入院した原因の病気が治ったにもかかわらず、今までの日常生活に戻れない患者さんを私は何人も見てきました。

「どうしてこんなになっちゃったんだ!」と、ご家族の方からお叱りを受けたこともあります。

 こういった臨床の経験があったからこそ、「もっと患者さんのためにできることはないか」と、私は腎臓リハビリの研究に邁進(まいしん)してきました。