もちろんその逆も然りで、慢性腎臓病の予防に努めれば、メタボや生活習慣病に対して有意な成果を得ることができるでしょう。

 ただし、慢性腎臓病はメタボを予防すれば絶対に罹患しないというわけではありません。遺伝性や突発性、急激な腎障害の悪化によっても慢性腎臓病に進行する可能性はあります。

 早期に発見できればできるほど腎機能の改善も望みやすいため、毎年の健康診断を欠かさず、定期的に尿検査や血液検査を受けて対策しましょう。

寝たきりになると失われる
筋肉量はどれくらい?

 一般的に人間の筋肉量のピークは20代から30代といわれており、それ以降は1年経過するごとに平均1%ずつどんどん減少していきます。

 では、もしも入院などでほぼ寝たきりの状態が続くと、筋肉量は1日でどれくらい減少するでしょうか。

(1)0.01%
(2)0.1%
(3)1%

「たった1日でしょ。たいして減らないよ」そう思った方は、驚かないでください。

 正解は(3)の「1%」なのです。

 なんと、たった1日にもかかわらず、1年過ごしたときと同じだけの筋肉量が失われてしまうのです。

安静第一だけでは
腎臓病は悪化していく

 入院でもトイレや食事といった必要最低限の動作があるため「ほぼ寝たきり」としましたが、これがもし絶対安静で1mmたりとも動けなかったとしたら、じつに筋肉量の減少は2%にも上ります。

 これは健康な人であっても同じことです。

 誰でも横になったままの状態で1日を過ごすと、それだけで1~2歳も老化が進行するといっていいでしょう。

 ひと昔前までは、慢性腎臓病の患者さんには安静が常識でした。

 それこそ1980年代あたりまでは、慢性腎臓病に限らず、心筋梗塞や肺炎といった多くの疾患に安静第一の措置がとられてきました。

 しかし、治療によって病状が回復したにもかかわらず、ベッドから起き上がれなくなったり、うまく歩けなくなったりする患者さんが後を絶ちませんでした。