社会を生きていく上では、みんなと同じタイミングで、同じようにできることも必要でしょう。しかし、それ以上に他者と異なる個性を持てるのはそれだけで素晴らしい。恥ずかしがらずに堂々と違いを活かし、強みを伸ばしていける人になってもらいたい。
私は放課後の遊びや生活、さまざまな子どもたちや異年齢の人たちとのコミュニケーションによって人間力が鍛えられ、培われていくと考えています。
私たち大人は、そっと裏側で放課後の体験を組み立て、コーチングで潜在能力を引き出していく。子どもたちは毎日を楽しみながら、いつの間にか非認知能力を磨き、人間力を高めていく。本稿では、そんな好循環を実現するための保護者の関わり方についても解説していきます。
小学生低学年・中学年は
「土台づくり」を優先
もちろん、中学受験を否定するわけではありません。ただ小学生の低学年、中学年の時期にはより大事なことがあります。この時期の放課後時間を過ごすうえで大切なのは、先取り学習をすることでも、中学受験の準備を急ぐことでもありません。
あせらず、せかさず、「まなび」の土台をしっかり作ること。親御さんからは遠回りのように思えても、その時間が子どもたちの非認知能力を磨き、中学受験をする場合にも塾だけでなく、自宅での学習ができる自発的な学習エンジンをつくっていってくれます。
私はKBCを通じて、本当にたくさんの子どもたちの変化と成長を目にしてきました。小学生の子どもたちは1年の間に驚くほど変わっていきます。
極端な話、1回のサマーキャンプを経験しただけで、「こんなにリーダーシップを発揮できる力を持っていたんだ」「周りの話を聞きながら調整する能力が一気に磨かれた」「自分の言ったこと、やったことに責任を持てる姿を見せてくれるようになった」など、こちらがさびしくなってしまうくらいポンッと成長してしまいます。
まるでスポンジが水を吸い込むように、周囲からの刺激をどんどん受け取って自分のものにしていく小学生たち。私も含めて保護者はどうしても自分の子どもの足りないところに注目し、子ども扱いしてしまいがちですが、一歩離れて客観的に見てみると、1年前と今では信じられないくらい成長しています。