スマホ・テレビ・ゴシップ……日常生活の99%はムダだらけ。しかし、ムダを捨てるためにいくら効率を良くし、生産性を上げても、他人の期待に応えているだけで、自分のためになっているわけではない。「依存のプロ」GoogleとYouTube出身の著者が生み出した、自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」とは? 27言語で刊行され、世界で累計30万部を突破している『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』をもとに解説する。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

「話が噛み合わない人」の餌食になってしまう人の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

「あの人、また急に話しかけてきた…」

「ちょっといい?」
「あとででいいから、これお願いしてもいい?」
「いや~ごめん、今大丈夫?」

 こっちは自分の仕事で手一杯なのに、なぜか“話しかけやすい人”にされている。

 まわりの人の忙しさは全然気にせず、「頼めそうな人」扱いされて、いつの間にかタスクがどんどん増えていく。

「断るのも感じ悪いし…」「あとちょっとなら」と思って受けていたら、いつしか自分の時間がほとんどなくなっていた……。そんな経験はありませんか?

「話が噛み合わない人」の餌食になる人の特徴

 こうした状況に陥りやすい人には、ある共通点があります。

 それは、「相手の期待を過剰に背負ってしまう」ことです。

 たとえば、

・すぐに返事をしなきゃと思ってしまう
・頼まれたら断れない
・あとでフォローすればいいかと自分の仕事を後回しにする

 こうして、「話が噛み合わない人」「他人の都合を押しつけてくる人」のペースに、ズルズルと巻き込まれてしまうのです。

 けれど、実はその“期待”は、自分が勝手に背負い込んでしまっているだけかもしれません。

 こんなとき、元グーグル社員が考案した「自分がやるべきことだけに集中できる」方法があるといいます。では、何をすべきなのでしょうか。

「期待」をリセットする

「頼みやすい人」という認識をとっぱらうために効果的なのが、「期待」をリセットするという戦術です。

戦術:「期待」をリセットする
 もちろん、営業やカスタマーサポートなど、すばやい対応が求められる仕事もあるだろう。
 でもそれ以外のたいていの仕事では、返信が遅いせいで多少不興を買ったとしても(実際には思ったほどは買わないが)、増えた時間で有意義な仕事をすれば挽回できる。

――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 つまり、「相手の期待どおりに即レス・即対応しなければ信頼されなくなる」というのは、思い込みであることが多いのです。

「すぐに返信するのが当たり前」だと無意識に感じている人は、自分でも気づかないうちに“早さ”を優先してしまいがちです。

 でも、その姿勢が「この人は頼めばすぐ動いてくれる人だ」と認識され、次第に仕事を“押しつけられる側”に回ってしまうのです。

 むしろ、一時的に期待を下げてでも、自分が集中すべき仕事に時間をかけたほうが、最終的に周囲の信頼や成果につながります。

「すぐには返せないという前提」を共有する

 そして、この戦術のポイントは、「自分の都合を一方的に押しつける」のではなく、「前もって相手に伝える」という点にあります。

 たとえば、

あたりまえだが、メールタイムを制限したり返信を遅くしたりしたいのなら、相手の期待を下げることも考えなくてはならない。同僚や仕事の関係者にはこんな感じのことを伝えておこう。

「大事なプロジェクトに集中していて返信が遅くなるから、急ぎの用件はショートメッセージで知らせてほしい」


――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 こうした一言を共有しておくことで、相手の期待値を“適正なところ”に下げておけるのです。

 そして、これは単なる時間管理ではなく、「無遠慮に話しかけてくる人との距離」を取るうえでも、とても有効です。

「巻き込まれない準備」だけが、自分の時間を守る

「話が噛み合わない人」や「なんでも頼んでくる人」と、対等に付き合っていくためには、自分の軸を守ることが欠かせません。

 期待に全部応えようとするのではなく、“自分が対応できるライン”を明確にして伝えること。

 それが、いつの間にか“頼みやすい便利な人”になってしまうのを防ぐ、最もシンプルで効果的な方法です。

(本記事は、ジェイク・ナップ ジョン・ゼラツキー著『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』をもとに作成しました。)