自分の生き方や置かれた状況に「悩む人」がいる一方で、同じ環境にいても「悩まない人」がいます。ではどうすれば、「悩みやすい不幸体質」を卒業して、「絶対に悩まない人」になれるのでしょう。
その方法を教えてくれるのが、書籍『不自由から学べること ―思いどおりにいかない人生がスッとラクになる33の考え方』です。12歳からの6年間を「修道院」で過ごした著者が、あらゆることが禁止された暮らしで身につけた「しんどい現実に悩まなくなる33の考え方」を紹介。悲観でも楽観でもない、現実に対するまったく新しい視点に、「現実の見方が変わり、モヤモヤがスッと晴れた」といった声が多数寄せられています。この記事では、本書で紹介されている「長崎で被曝した祖父の話」を紹介します。

長崎の原爆で家族を亡くした祖父が教えてくれた、苦しみを乗り越えるための「たった1つの教え」Photo: Adobe Stock

耐え難い苦しみを受けた「ヨブ」の物語

 ときに人生では、理解に苦しむほどに受け入れられない「天災」や「人災」が降りかかります。

 少し長くなりますが、聖書にある「ヨブ記」の話をご紹介します。耐え難い苦難が訪れたとき人はどうすればよいのか、という話です。

 ヨブの息子、娘が、長兄の家で宴会を開いていた日のことである。
 ヨブのもとに、一人の召使いが報告に来た。「御報告いたします。わたしどもが、牛に畑を耕させ、その傍らでろばに草を食べさせておりますと、シェバ人が襲いかかり、略奪していきました。牧童たちは切り殺され、わたしひとりだけ逃げのびて参りました。」
 彼が話し終らないうちに、また一人が来て言った。「御報告いたします。天から神の火が降って、羊も羊飼いも焼け死んでしまいました。わたしひとりだけ逃げのびて参りました。」
 彼が話し終らないうちに、また一人来て言った。「御報告いたします。カルデア人が三部隊に分かれてらくだの群れを襲い、奪っていきました。牧童たちは切り殺され、わたしひとりだけ逃げのびて参りました。」
 彼が話し終らないうちに、更にもう一人来て言った。「御報告いたします。御長男のお宅で、御子息、御息女の皆様が宴会を開いておられました。
 すると、荒れ野の方から大風が来て四方から吹きつけ、家は倒れ、若い方々は死んでしまわれました。わたしひとりだけ逃げのびて参りました。」
 ――ヨブ記 1章 13-19節

 ヨブは神を深く信仰する人です。
 神を敬って、富にも執着せず、家族も正しく繁栄していましたが、神様がすべてを奪ってしまったのです。なんとも救われない物語です。

 さすがにヨブも「なぜそんなことをするのか?」と感じたことでしょう。

 ですが話は次のように続きます。

 ヨブは立ち上がり、衣を裂き、髪をそり落とし、地にひれ伏して言った。
「わたしは裸で母の胎を出た。裸でそこに帰ろう。主は与え、主は奪う。主の御名はほめたたえられよ。」
 ――ヨブ記 1章 20-21節

 神は与えてくれる代わりに、奪いもする。
 それが世の真理であると、受け入れたのです。

私の祖父の「ヨブ記」

 もう一つ、別の話をさせてください。
 被爆体験者である、私の祖父の話です。