投資初心者が選ぶ“はじめての投資先”ベスト1はやっぱりコレ!
東京大学大学院卒業後、ゴールドマン・サックスに入社。30代にして上位数パーセントの幹部、マネージング・ディレクターに就任し、アジアのトレーディングチームを率い、巨額の利益を上げた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトップトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、すぐに役立つノウハウが満載!

人口増加と技術革新が続く世界を前提にすると?
人口の増加と技術革新(生産性の向上)が今後も続いていくという仮説を信じることができるなら、どういったことがいえるでしょうか?
1つは、「世界経済の成長が続くであろう」という予測です。やや乱暴な計算式にはなりますが、世界経済(GDP〈国内総生産〉)の成長は、次のように考えることができます。
少なくとも今後20年くらいの近未来を見据えると、世界人口の増加や技術革新が続き、だからこそ世界経済の成長が見込まれる、というロジックが成り立ちます。
経済成長の果実を得るにはどんな投資が正解か?
世界経済の成長が今後も続くという予測が腹落ちしたとすると、それに基づいてどのような投資の仮説が組み立てられるでしょうか?
普通に考えれば、「世界経済の成長が続くなら、株価も上がるだろう」という仮説を思いつくはずです。
しかし、いきなりテスラの株を買う、トヨタの株を買う、という短絡的な行動はすすめられません。世界経済が長期的に成長するからといって、すべての個別株が値上がりするとは限らないからです。
「全部買い」で世界経済に乗る
仮に株式・債券・投資信託・商品先物などの金融商品を「全部買い」することができればどうでしょうか?
世界中の金融商品をすべて保有しているとするならば、世界経済の成長率に近い収益率を上げることができるように思えます。そしてこれは、それほど悪い想定ではありません。
“金融商品全部買い投資”は、株式だけでなく債券などすべての金融商品を、国や地域を限定することなく全世界で買いましょう、というアイデアです。
これによって、世界経済の成長の果実の多くを投資することによって得られるでしょう。
オルカンは「全部買い」の入り口
個人投資家に人気の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)への投資は、この“金融商品全部買い投資”のうち、株式の部分に相当しますが、債券など他分野の投資が欠けていると指摘する人もいるでしょう。
短期的には株のリターンは債券よりも低迷することがあるものの、長期的に見れば投資のリターンが株と債券のどちらかに大きく偏ることは想定しづらいです。
そのため、株式投資であるオルカンへの投資だけでも、世界経済の成長の果実を享受できる可能性が高いといえます。
多くの人にとって、オルカンが「最適解」
話をまとめると、「世界経済の成長が今後も続く」という仮説を信じられるのであれば、オルカンへの投資は理にかなっています。
投資手段は数多くありますが、多くの投資家はオルカンへの投資だけ考えれば十分です。
例えば、現在働いていて収入の一部を投資にあてられる、なおかつ投資期間が長期(20年以上)にわたるケースです。
収入がない人にはリスクも
一方、すでに仕事から引退している人や無収入の人は、オルカンへの投資だけだとリスクが高いです。
リーマンショックの際は、世界の株価が50%以上下落したこともあり、そうした状況では株価が回復するまでに時間がかかりますから、収入状況によっては注意が必要です。
年齢と収入に応じた資産配分を
オルカンが投資の基本であるとしても、年齢や将来の給与所得に応じて株式投資の割合を適宜下げていくのがセオリーといえます。
※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。