「本当にそれで大丈夫?」「こうしたほうがいいんじゃない?」そんなふうに言われてしまうことはありませんか?「なぜいつも、干渉されるんだろう……」と悩んだとき、私たちはどうすればいいのでしょうか?
累計20万部を超えるベストセラー著者、林健太郎氏が執筆した『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から「しんどい相手」が「心地よい人」に変わる、いい距離感を保つためのコミュニケーションを本記事で紹介します。

「会社の方針」を「自分の希望」として伝えてはいけない
「相手に聞く」と同じくらい重要なのが、自分自身の希望を確認することです。
「私は、この人とどんな関係をつくりたいのだろう?」
大切な人を一人ひとり頭に浮かべながら、この問いについて考えてみてください。
企業研修や、リーダー職とのコーチングの場面で、私はこの問いにしっかりと時間をかけます。
「部下のAさんとはどんな関係を築きたいですか? Bさんとは? Cさんとは?」
……リーダーの方々は、驚くくらい答えられません。
リーダー「そりゃ、任せた仕事をしっかりやって欲しいと思ってますけど」
林「それは、関係性ではないですね」
リーダー「難しいな……。あ、当社では個性を生かして、それぞれの成長を応援する方針です」
林「そうなんですね。あなた自身の希望は?」
リーダー「あ~、私もそれでいいです」
林「わかりました。では部下のAさんの個性は? どんな人ですか?」
リーダー「えっ、どんな人? ん~」
「関係性」をつくるという発想が、そもそも抜けてしまっている人が多くいます。
業務の進捗、納期、売り上げ、育成の責任など「仕事の目標」と「上司の役割」ばかりに注意が向いていると、部下という「人」を見るのをつい忘れてしまうのです。
理想的な関係のイメージを自分に問い掛ける
相手の人となりや価値観、何に関心を持ち、どんなキャリアを望んでいるか。
そんな相手を、あなたはどう育てたいか。
自分に対して、どのような距離感でいて欲しいか。
こまめに相談に来て欲しいか、自分で判断する度合いを増やして欲しいのか。
かしこまらず砕けた関係にしたいか、節度を持ちつつ信頼感のある関係にしたいか。
さまざまな角度から自問し、理想的な関係のイメージをつくり上げることが必要です。
これはつまり、「あなた自身が望む関係性や距離感に向けて、能動的にコミュニケーションを変化させていきましょう」ということです。
「関係性や距離感のつくり方を変えるって、どうやって?」
そう思われる方も多いと思います。その答えは、「対話のデザインを変える」ことにあります。
これはコーチングの知恵ですが、聞いて、確かめて、相手の思いを知ることによって、対話は自在にデザインできるようになります。
その手始めに、次の問いを心に携えてください。
「どのようにすれば、私たちは対話により絆を深めていけるだろうか?」
この本が掲げる、最大の問いです。
この問いが持つ深い願いをさらに書き添えるなら、「私たちは、どのようにすれば距離感を対話により上手に測り、合意形成し、絆を深めていけるだろうか?」となります。
(本記事は『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から一部を抜粋・編集して掲載しています)