本当にそれで大丈夫?」「こうしたほうがいいんじゃない?」そんなふうに言われてしまうことはありませんか?「なぜいつも、干渉されるんだろう……」と悩んだとき、私たちはどうすればいいのでしょうか?
累計20万部を超えるベストセラー著者、林健太郎氏が執筆した『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から「しんどい相手」「心地よい人」に変わる、いい距離感を保つためのコミュニケーションを本記事で紹介します。

「個性を尊重する」と言いながら、部下が離れていくリーダーの「残念すぎる口グセ」Photo: Adobe Stock

「会社の方針」を「自分の希望」として伝えてはいけない

「相手に聞く」と同じくらい重要なのが、自分自身の希望を確認することです。

「私は、この人とどんな関係をつくりたいのだろう?」

大切な人を一人ひとり頭に浮かべながら、この問いについて考えてみてください。

 企業研修や、リーダー職とのコーチングの場面で、私はこの問いにしっかりと時間をかけます。

「部下のAさんとはどんな関係を築きたいですか? Bさんとは? Cさんとは?」

 ……リーダーの方々は、驚くくらい答えられません。

リーダー「そりゃ、任せた仕事をしっかりやって欲しいと思ってますけど」

林「それは、関係性ではないですね」

リーダー「難しいな……。あ、当社では個性を生かして、それぞれの成長を応援する方針です」

林「そうなんですね。あなた自身の希望は?」

リーダー「あ~、私もそれでいいです」

林「わかりました。では部下のAさんの個性は? どんな人ですか?」

リーダー「えっ、どんな人? ん~」

「関係性」をつくるという発想が、そもそも抜けてしまっている人が多くいます。

業務の進捗、納期、売り上げ、育成の責任など「仕事の目標」と「上司の役割」ばかりに注意が向いていると、部下という「人」を見るのをつい忘れてしまうのです。

理想的な関係のイメージを自分に問い掛ける

 相手の人となりや価値観、何に関心を持ち、どんなキャリアを望んでいるか。

そんな相手を、あなたはどう育てたいか。

 自分に対して、どのような距離感でいて欲しいか。

 こまめに相談に来て欲しいか、自分で判断する度合いを増やして欲しいのか。

 かしこまらず砕けた関係にしたいか、節度を持ちつつ信頼感のある関係にしたいか。

 さまざまな角度から自問し、理想的な関係のイメージをつくり上げることが必要です。

これはつまり、「あなた自身が望む関係性や距離感に向けて、能動的にコミュニケーションを変化させていきましょう」ということです。

「関係性や距離感のつくり方を変えるって、どうやって?」

 そう思われる方も多いと思います。その答えは、「対話のデザインを変える」ことにあります。

 これはコーチングの知恵ですが、聞いて、確かめて、相手の思いを知ることによって、対話は自在にデザインできるようになります。

 その手始めに、次の問いを心に携えてください。

「どのようにすれば、私たちは対話により絆を深めていけるだろうか?」

 この本が掲げる、最大の問いです。

 この問いが持つ深い願いをさらに書き添えるなら、「私たちは、どのようにすれば距離感を対話により上手に測り、合意形成し、絆を深めていけるだろうか?」となります。

(本記事は『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から一部を抜粋・編集して掲載しています)