【たった2つ】再現性と実績で見極める“投資で損しない黄金ルール”
東京大学大学院卒業後、ゴールドマン・サックスに入社。30代にして上位数パーセントの幹部、マネージング・ディレクターに就任し、アジアのトレーディングチームを率い、巨額の利益を上げた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトップトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、すぐに役立つノウハウが満載!

投資法を見極める2つの視点
世の中に投資法は数多くありますが、その良し悪しを判断するには、次の2つのことを確認する必要があります。
❷トラックレコード(運用実績)
「❶収益がなぜ生まれるのか」を確認することは、投資法に「再現性」があるかを調べるのに役立ちます。まぐれ当たりではなく、同様の方法でリターンを積み重ねられるのかを確認しておくことが大切です。
さらに「❷トラックレコード(運用実績)」を確認することで、過去の運用実績をもとに将来のリターンをある程度予測できるようになります。
グローバル分散・パッシブ投資は2つの条件を満たすか?
では、この2つの観点から、「金融商品全部買い投資≒グローバル分散・パッシブ投資」について考えてみましょう。
❶収益がなぜ生まれるのかについては、すでに説明しました。人口増加や技術革新によって世界経済の成長が起きると、その結果として個人投資家に人気の投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)などからリターンを期待できます。
世界経済の成長とグローバル分散・パッシブ投資のリターンには相関関係があり、投資収益に再現性があるといえそうです。
過去のシミュレーションが教える「長期投資の底力」
次に❷トラックレコードについてです。実際の数値を確認してみましょう。
金融庁が金融教育の資料として公開しているシミュレーション(リンクPDFの6ページ目)は、誰でも理解しやすいように、シンプルに設計されています。
このシミュレーションが示しているのは、1985年以降、保有期間20年間(あるいは比較のために5年間)、その期間中に毎月同額ずつ、総額100万円分の国内外の株式・債券の買い付けをすると仮定したシミュレーションです。
毎月4200円の積立が導く結果とは?
保有期間20年間ということであれば、100万円÷(20年間×12か月)で、毎月4200円ほどの積立投資になります。
この毎月4200円を、日本株式・外国株式・日本債券・外国債券に25%ずつひもづけた投資信託(パッシブ投資)にあてます。
どのタイミングで始めても、プラスの実績に
保有期間20年間というのは、1985~2005年の場合もあれば、2000~2020年の場合もあるように、考えられるすべてのタイミングを考慮しています。
20年の保有期間が経過した時点で運用結果を見てみると、100万円の投資元本は最低でも185万円になっており、最高321万円になっていることがわかります。
20年の投資で投資の元手が1.85~3.21倍になった計算で、どのタイミングから始めても投資元本を増やせています。
5年では足りない?短期投資のリスク
一方、投資期間を5年間で切ってしまった場合(途中解約した場合など)、総じて収益が上がっているものの、元本割れしてしまうケースも出ました。
最も損をしたケースでは、100万円の投資元本が5年後に72万円にまで減っています。
長期投資で「世界経済の成長の果実」を享受する
この結果からすると、投資リターンを確実に得るには5年では不十分で、20年ほどの長期で投資を続けた場合、世界経済の成長の果実を確実に享受できるということになります。
もちろん、この統計は過去のトラックレコード(運用実績)によるもので、今後も必ず長期投資が成功するとは断言できません。
それでも、高い成功確率で長期グローバル分散投資がうまくいくとはいえるのです。
※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。