「せっかく“いい会社”のはずなのに、毎日ぜんぜん楽しくない…」
あなたは今の職場で、「うまく言葉にならない“悩み”」を感じたことはないだろうか。「この会社で一生働くなんて無理…」「でも、他に“やりたいこと”もない…」「だから、しぶしぶ働いている…」そんな日々に「このままでいいのか?」と不安になったことも、一度ではないはず。
こんな“うまく言葉にできないモヤモヤ”を「見事に“言語化”してくれた!!」と話題なのが、新刊『「いい会社」のはずなのに、今日もモヤモヤ働いてる』だ。各所から共感が殺到している本書の内容に沿って、今回は「キャリアのモヤモヤ」の正体について解説する。

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「つぶしが効く」の落とし穴

「どれを選んでも間違いではない」――そんな道を歩いてきた。
だが、気がつけば――「どれも自分の気持ちを置き去りにしていた」。

履歴書に書けることは増えた。スキルもある。将来性もある。
けれど、最適化の果てに手に入れたのは、多様な可能性ではなかった。
選び続けたその先にあったのは、本当に望んでいたわけではない――どこか他人事のような場所だった。

将来を決めきれず、消極的に“正しそうな選択”を重ねていく――それが、モラトリアムの本質である。

「とりあえず大手」「とりあえずコンサル」「とりあえずMBA」。
どれも理にかなっているし、他人が口を挟める余地などない。

だが、それゆえに――その選択は、やがて“目的なき最適化”となり、自分の輪郭を、少しずつ削り取っていく。

キャリアは立派だ。けれど、気付けなかった。
その道の先に待っていたのは、自由ではなく、行き止まりだった。

履歴書が「自己紹介」になってしまう

戦略コンサル、MBA、外資、メガベンチャー――
本来は「自由に生きるため」の武器だったはずの肩書き。

けれど、それが「自分を説明するための手札」になった瞬間、キャリアは“広げるもの”ではなく、“枠にはめるもの”へと変わっていく。

何かを実現するためではなく、「何者かであり続けるため」に選び続けた職歴や学歴は、じわじわと、自分の内面を空洞化させていく。

肩書きは、たしかに強力な“武器”だ。
しかしその武器はいつしか、自分を内側から閉じ込める“殻”に変わってしまったのだ――。

(本記事は『「いい会社」のはずなのに、今日もモヤモヤ働いてる』の一部を編集・加筆・調整した原稿です)