八木(妻夫木聡)のモデルはサンリオ創業者説!?嵩の周りがキーパーソン渋滞中【あんぱん第96回】

代議士・薪鉄子と考えが合わないが
仕事を辞められないのぶ

 のぶは代議士・薪鉄子(戸田恵子)の秘書をしているから、それなりの給料を得ているだろう。だが、どうものぶと鉄子の考えが噛み合わない。

 ある日、のぶは勝手に予定を変えて、児童福祉法を改正してほしいという嘆願を聞かせる。その場は泣いて話を聞いていた鉄子だが、女性・霧子(川俣しのぶ)が去ると態度をがらっと変えて迷惑そうだ。

 のぶとは対称的に第二秘書? 中山駒子(おしの沙羅)は昼食をとる時間を作る。そして鉄子の涙は演技ではないかと思っている。

 このタイミングでのぶは鉄子に、辞めてもいいと言われたけれど辞めたくないと頼む。のぶのすごいところは、仕事を辞められない状況にもかかわらず、鉄子の意に反し、予定を変更するという無謀な行為に出ることだ。相手の顔色を伺うということをしないのは神経が図太い。

 彼女が辞めたくないのは、経済的なこともあるが、探しているものがあるから。でも肝心なところを鉄子に語らない。何を探しているかを曖昧にしていても辞めずに済むなんて、なんだかんだ言って鉄子はいい人なのかなと思う。

 困っている女性や子どもの面倒をいまは見られていないが、のぶに居場所を提供することが鉄子の今できるささやかなことなのかもしれない。

 再び、嵩。いつものカフェで出版社の人と打ち合わせ。〈代原〉を探している編集者に犬のキャラを提示している。代原とは落ちそうな原稿の穴を埋めるもの。高知新聞時代に嵩がやっていたことだ。

 編集者が帰ると、漫画家仲間が嵩の席に移動してくる。嵩は独創漫画派という集団に所属して、そこから仕事をもらっていた。

 やなせたかしは小島功、関根義一、金子泰三たちと独立漫画派として活動、それは銀座に事務所をもっていたそうだ。ドラマに出てきたコウは小島功がモデルだろう。

 帰宅した嵩がさっそく『メイ犬BON』を描き始めていると、代原は必要なくなったと電話がかかってきた。残念。

『メイ犬BON』の愛読者は、まだのぶだけ。「私この漫画好き」とのぶだけが楽しんでくれる。のぶは鉛筆削りのお手伝い。なんかもう、すっかりかわいい奥さん化している。

『メイ犬BON』は、愛犬家のやなせが犬の散歩をしているときに、その表情や心情に注目して漫画にしたもの。昭和34年(1959年)に自費出版で出している。やなせは世間的に認められなくても自分の力で出しているのだ。嵩はそれをするだろうか。いまのところ愛犬家の面も出てきていない。