
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第94回(2025年8月7日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)
給料を妻・のぶが管理
それも嬉しそうな嵩
「嵩の描くもんはほんまにあったこうておもしろい」
嵩(北村匠海)がメイコ(原菜乃華)と健太郎(高橋文哉)の結婚祝いに描いた絵を見て、のぶ(今田美桜)はそう言う。
のぶに褒めてもらえると嵩は嬉しそう。副業の稼ぎをのぶに渡し、管理してもらうことも嬉しそう。
嵩は三星百貨店に勤務しながら副業で絵の仕事をしていた。そっちの稼ぎも順調になってきて、このままだったら本業と同じくらいになる。そうしたら漫画家1本に絞るため三星百貨店を辞めようと思っていた。
「来年には漫画家・柳井嵩になってみせるから」
そう宣言してから、あっという間に5年が経過した。
5年たっても嵩は三星百貨店にいた。そろそろ副業が本業を超えそうになってはいるものの、勇気が出ない嵩。「たっすいがー」と言わないの?とのぶに聞いても、のぶは寝てしまっていた。
令和のいまでこそ副業が認められる会社も増加しているが、『あんぱん』の時代でも副業OKの企業があったようだ。しかも本業を超えるほど稼げているとは、嵩もなかなかやる。