
職場で「よかれと思って」したことが、思ったほど感謝されなかった…。そんな経験はないだろうか?実はその原因の多くは“距離感のズレ”にある。相手のためにと思って動いたつもりが、「おせっかい」と受け取られてしまうこともある。優しさが裏目に出る前に、精神科医の筆者が教える“バウンダリー(心の境界線)”を学ぶ。※本稿は、藤野智哉『人間関係に「線を引く」レッスン 人生がラクになる「バウンダリー」の考え方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
心配や気づかいも
過度になれば嫌われる
生活をしている上では、基本的に「線を越えられて自分の領域にこられたら、どうするか」ということに思い悩むことが多いでしょう。
しかし、相手が引いた線を自分が踏み越えてしまうパターンもあるものです。
ここでは、「相手の線を自分が越えてないかどうか」を中心にお話ししていきます。
「やさしい人」「相手に気づかいしがちな人」は、もしかしたら相手の線を越えてしまうことがあるかもしれません。
たとえば久しぶりに会った友人が疲れた顔をしているように見えたとします。
「なんか疲れてるね。私でよかったら話してみて」
ここまでなら普通の会話ですが、「大丈夫」と言われても、
「そんなことないよ。悩みを打ち明けてみて。力になれることなら、なるから」
「ちゃんと眠れている?旦那さんには相談できている?」
などと根掘り葉掘りきいてしまったらどうでしょうか。
友人としては、「疲れた理由を言いたくない」「疲れているから話すのがしんどい」と思っているかもしれません。「そもそも眠れているし、そんなに疲れてない」と思っている可能性もあります。
また、もし疲れて眠れてないにしても「寝る前にスマホはダメ」「悩みごとは夫に相談したほうがいい」などとアドバイスをされるのがイヤな人もいます。