母国語で最先端の教育、日本は恵まれている
僕の理解では、(英語ネイティブではなく)英語を話せる人は、母国じゃ生きていけなかったからなんですよ。自国の経済が弱すぎて、「稼ぎたいならアメリカやイギリスに行くしかない」って切羽詰まってた。だから、嫌でも英語を勉強するしかなかった。生きるための英語です。
ヨーロッパの多くの国もそう。国内に世界ランキング上位の大学がないから、国外に出て勉強する必要があった。英語ができないと、勉強すらできなかった。
でも日本は違う。東京大学をはじめ世界レベルの大学がちゃんと国内にあって、しかも母国語で最先端の教育が受けられる。これって実はめちゃくちゃ恵まれている。
だから、英語を「勉強しない」環境が自然にできてしまっている。これがメンタル的な大きな理由ですね。
さらに言うと、日本人って「外国人コンプレックス」が根強い。欧米の人たちを前にすると緊張してしまうところがあると思うんです。「あ、ガイジンさんが来た……」ってオロオロしちゃうような。それが英語を話す時に萎縮してしまう原因でもあるかなと。
もちろん人種に優劣なんてありません。でも、映画やドラマを通して僕らが見てきた「ハリウッドのヒーロー像」――例えばトム・クルーズやブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオみたいなスターたちが、「英語を話すカッコいい白人像」として刷り込まれてきたと思う。
そうした映像文化による、いわば憧れの植え付けが、いつの間にかコンプレックスになった。それが、英語を話す場面で無意識に自信を奪っている。そういう現象って、けっこうあるんじゃないかな。
英語と日本語、言語の成り立ちが違い過ぎ
言語的な構造の問題もあります。MMBH留学の提携塾『Liberty English Academy』で教えられている言語解説によると、英語と日本語では成り立ちが違いすぎるんですよ。言語学には「ランゲージツリー」という分類があって、英語は「インド・ヨーロッパ語族」の中のゲルマン語系。フランス語やスペイン語、ドイツ語も同じ分類で、文法や語彙も似てるから学びやすい。
でも日本語は、そのツリーの全く別の枝にいる。これだけでもう、日本語が母語の人が、英語を学ぶのはめちゃくちゃ不利。決定的に違うのは、「syntax」(統語法)の有無。ラテン語圏にはこれが明確に存在する一方、日本語には似たようなものが無い、とされている。
英語は「verb」(一般的には「動詞」のこと。しかし正確には日本語の動詞と意味や役割は異なるもの)が命で、語順が全てを決める。単語の位置がちょっと変わるだけで意味がガラッと変わる。でも日本語は「てにをは」でコントロールできる言語。単語の順番がぐちゃぐちゃでも意味が通じる。そもそも時制すら曖昧だったりする。