「せっかく偏差値の高い大学に行ったから有名企業に就職してほしい」大学3年生の就活生を持つ親御さんでこう願う方もいらっしゃいますよね。お子さんの就活に、親ができることはあるのでしょうか?
新刊『脇役さんの就活攻略書』は、特別なガクチカも将来の夢もなかった普通の就活生=「脇役さん」の著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分だけの就活戦略をつくりあげ、食品超大手を含む22社から内定を得た実体験から生まれた一冊です。
「長期インターンにも行っていないし」「自己PRで語れることがない」――。
そんな普通の就活生が、どうすれば自分に合う企業に内定を取れるのでしょうか? 就活に不安を抱えるすべての学生、そしてその姿をそっと見守る保護者の方に届けたい、内定につながるリアルな戦略が詰まった、まったく新しい就活本です。今回は、「学歴でなんとかなる」という考え方の落とし穴と、就活中の大学3年生が親に本当に求めていることについて著者である藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。

学歴以外も評価される令和の就活
「せっかく偏差値の高い大学に行ったから有名企業に就職してほしい」
かつては有名大学に入ることが、そのまま安定した就職先に直結していた時代もありました。しかし今の就活では、学歴だけで切り抜けられるほど単純ではありません。
企業は応募者の学歴だけでなく、経験・考え方・価値観の一致など、多面的に評価します。そして就活の現場にいる大学3年生たちは、こうした厳しい現実を肌で感じています。
では、そんな彼らが親に本当に求めているものは何なのでしょうか。
親がすべきは「聞く」こと
就活生にとって一番辛いのは、学歴などを理由に不安や努力を軽く扱われることです。
「いい大学に入ってるし受かるでしょ」「気を張り詰めすぎじゃない?」
こうした言葉は励ましのつもりでも、本人は「努力をわかってもらえない」と感じてしまうかもしれません。
就活生のお子さんに何か伝えたい。そう思ったときに、自分の主張を一方的に押し付けるのではなく、まずは「聞くこと」から始めるのが良いと思います。
そのうえで大切なことは、否定しないことです。
就活のような「正解がないこと」に対しては、誰もが正解を持ち合わせていないので、否定や押しつけばかりすると話す気力を失ってしまいます。これを徹底するだけでも、お子さんは親御さんのことを「味方」だと強く思ってくれるはずです。
就活は想像以上に孤独なものです。Xやインスタで「内定が出た」なんて投稿がいくらでも目に飛び込んできてしまう。そういった焦りを一人で受け止めなければならないのです。
そんなときに、否定せずに話を聞いてくれる存在がいるだけで、どれだけ救われるか。「9:1」で就活生にたくさん話してもらう。そして否定せず、自身の主張は「あくまで新しい視点」として、「こんな見方もできるかもね」と伝えてあげることをおすすめします。
また、伝え方も細かいですが、「こうしなさい」ではなく「自分はこう感じた」というような共有にとどめるのも大切ですよね。
就活には正解がない
僕はこれまで2000本以上の就活記事を書いてきましたが、その経験から一貫して思うのは、「就活に唯一の正解はない」ということです。
なぜなら、仕事の向き不向きは人によって異なり、得意なことや苦手なことも千差万別だからです。さらに、就活の選考対策ひとつを取っても、面接官の評価軸や価値観によって、同じ方法が効果的になる場合もあれば、まったく響かない場合もあります。
つまり、就活には絶対的な必勝法は存在しません。それにもかかわらず、親が「その選択は間違っている」と否定してしまうと、たとえ善意からの言葉でも、子どもには届かなくなってしまいます。
だからこそ、「あのとき話しておけばよかった」と後悔しないためにも、この夏はぜひ、お子さんの考えにじっくり耳を傾けてみてください。自分の人生を歩き出そうとしている我が子にとって、それは何よりの応援になるはずです。
(本記事は『脇役さんの就活攻略書』に関連する書き下ろしです)