「先が見えない中」での決断

たとえば、戦時中のチャーチル首相や徳川家康、ネルソン・マンデラ。時代も国も違いますが、共通しているのは、「先が見えないなかで決断を迫られた」という点です。

彼らは、正解がない状況での意思決定をくり返していました。現代を生きる私たちも同じです。

どんなに情報があっても未来は予測できません。だからこそ、歴史を「思考と判断の物語」として読み解く――それが、リーダーに求められる判断軸のよりどころになるのです。

世界史に登場する35人のリーダーから学ぶ

『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)では、「決断力」「洞察力」「育成力」「人間力」「健康力」という5つの切り口を柱に、世界史に登場する35人のリーダーに学びます。

ナポレオンやレオナルド・ダ・ヴィンチだけでなく、ムガル帝国のシャー・ジャハーン、清朝の康熙帝、現代ロシアのエリツィンまで幅広く取り上げます。

「決断の集積知」としての歴史

彼・彼女らがどのような背景で、何に悩み、いかなる決断を下し、どんな結果を迎えたのか。その過程から、現代にも通じる普遍的なリーダーシップの原理を抽出していきます。

近年、「歴史離れ」が進んでいるといわれます。しかし私は、今だからこそ歴史に学ぶことが最大の武器になり得ると確信しています。

なぜなら、歴史とは人類が数千年にわたって積み重ねてきた、決断(失敗と成功)の集積知だからです。

正解よりも「最適解」を導く力

そこには、小手先のノウハウでは到達できない、人間理解本質的な判断力が詰まっています。歴史に学ぶことは、正解を知ることではありません。

「正解のない時代に、自分なりの最適解をどう導くか」を学ぶことなのです。

歴史があなたの羅針盤になる

歴史に学んで、読者のみなさんが自分自身の判断軸を磨くこと。そして、リーダーとしてより深く考え、より正しく行動するための思考の型を身につけることを目指していただきたいです。

現代社会は複雑化し、変化のスピードも加速しています。そんな時代において、柔軟でありながらも、ぶれない判断軸を備えることこそが、リーダーとしての最大の強みになります。

ぜひ、過去のリーダーたちと対話してください。そして、その思考と決断から、あなた自身のリーダーとしてのあり方を問い直す時間を過ごしてください。

そう、一流は歴史に学ぶのです。

※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。