不機嫌なビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

「怒ったら6秒我慢しろ」。誰もが知るアンガーマネジメントの定番だが、実はこの方法は怒りを根本から鎮めるには不十分なことも多い。精神科医が教える、本当に効果的な怒りとの付き合い方とは?※本稿は、藤野智哉『嫌な気持ちにメンタルをやられない 不機嫌を飼いならそう』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。

イライラが増えるのは
心や身体の不調が原因かも

 以前に比べて、ささいなことにイライラするようになった……。年齢を重ねて、そう感じている人もいるかもしれません。

 社会のルールやマナー、常識は時代とともに変わります。そして社会に限らず、自分自身も過去とは変わっていきます。昔は何とも思わなかったことにイライラするのは、それが今の自分にとって害になると思うからです。

 また、しんどいときや余裕のないときは、普段であれば気にならない声や音などに対する感覚も過敏になり、イライラしやすくなります。最近やたらイライラするようになったなと感じたときは、「自分の調子が悪いのではないか」と考える1つのきっかけにしてもいいと思います。

 さらに、人は年を重ねると、自分に無意識のうちに染みついた「常識」や「普通」が増えていきます。「こうするのが常識だろう」「普通はこんなことしないだろう」といったふうな。

 自分が勝手に考えた「こうあるべき」を、心理学では「べき思考」といいます

 そして、この「べき思考」を自分にも他人にも押しつけた結果、思いどおりにいかずイライラや怒りが生じる……そういうケース、けっこう多いんです。