
最近よく見かける「わたし、ADHDなんで」という言葉。これは本当に診断を受けたうえでの発言なのだろうか。怒りっぽさや不注意を、すぐ「ADHD」や「発達障害」で片づけてしまう昨今。その危うさを精神科医が指摘する。※本稿は、藤野智哉『嫌な気持ちにメンタルをやられない 不機嫌を飼いならそう』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。
自称「精神疾患」で満足すると
本質的な改善が遠のいていく
最近は精神疾患がよくも悪くも身近になり、メディアなどで取り上げられることも増えました。
「うつ病あるある」「発達障害あるある」なんてものがSNSでバズったりする結果、病気を自称する人まで出てきています。
自分にわかりやすい病名などがつくと、ある種の言い訳になり、自称でも何か病名がつくと救いになるという人がいたりします。
病気ではないけど、他人とそんな関わり方をしていたらトラブルが多くなるから、そりゃあしんどくなるよね、という人が「精神疾患」を自称し、そのせいにして満足しているのをネット上でも見かけることがあります。
でも、それを何かのせいにしてしまうと問題の本質を見失うので、当然その人はいつまで経っても改善しません。
発達障害という言葉がライトに扱われるようになってきたことで「何だか生きづらい」「仕事でいつもトラブルを抱えているな」「もしかして私、発達障害かも?」と考えている人がいるかもしれません。